子供のころは、バスが1時間に1本しか来ないような山奥の村落に暮らしていた。大学進学で地方都市に出た後、就職で初めて東京に来た。その東京で暮らして20年以上になる。
若い頃は東京での生活に適応できていたが、今になって東京での生活に徐々に適応できなくなりつつある。
東京の何が問題かというと、第一に人の多さだ。俺はもともと人混みが苦手だが、歳を取るごとにそれが一層加速している。
新宿のような場所に行きたくないのはもちろんだが、それよりマシな23区の外れの住宅街のような場所でもだいぶ人が多いと感じる。
俺がもともと暮らしていたのは、小学校の全校児童が30人にも満たないレベルの過疎地なのだ。
東京でも午前5時頃に散歩すると誰もいなくて快適だが、そのぐらい人がいない状態でないと俺は安らぎを感じないのだ。
第二の問題は、目と耳に入る情報の多さだ。どこもかしこも看板、標識、広告だらけで、脳がそれらの情報処理に追い付かない。そこら中から話し声や音楽が聞こえて頭がクラクラする。
子供の頃は、夜になると街灯の明かりもないような森の中の道を通って学校に通っていた。よく晴れた夜は星空がよく見え、虫の音だけが響いていた。
不思議なことに、東京の喧騒が苦手な俺でも、虫の音ならいくらうるさくても平気だ。それら星空と虫の音に俺はずっと癒されていたのだと今になって思う。
東京にはその癒しがない。緑の多い公園などは東京にもあるが、あんなのは作り物で、本物の野山には遠く及ばない。人も多くてとても癒しにはならない。
そんなことで、外に出るのが嫌になり休日はすっかり引きこもるようになってしまった。若い頃は環境の変化にまだ適応できていたが、歳を取るとやはり自分は田舎の人間なのだと強く思う。
一つは20年以上も外に出た自分はもはや余所者なので田舎の生活にも今さら馴染みにくいこと、
一つは妻が生粋の東京生まれで夫婦そろって移住するのがまず無理なことだ。
妻が東京生まれなことが特に問題で、この問題を夫婦で分かり合うことがまるでできないし、他のどこへ移住するにしても妻の方が耐えられなくなる。
そんなわけで東京でずっと耐えているが歳を取るごとに東京への苦手意識はどんどん加速している。そのうち耐えられなくなりそうだ。
とりあえずイヤーマフとサングラスをしてヨシ!
大阪はいいぞ …人口おおいから、ある程度は標準語の通じるコミュニティもあるぞ(むしろメディアによって氾濫したキッツイ関西弁は品が悪いとして避けられるまである)
郊外とか中堅都市に引っ越すんだよ 子どもの成績次第だけど、都内の5番手校に進学するより地方のトップ校に進学した方が良いので上手いこと奥さんをたぶらかせ