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30代後半の男性A氏
「VTuberにハマったのは昨年の初め頃。自分はいわゆる〝非モテ〟で女性に縁がなく、2次元が好きで、
生身の女性には嫌悪感・抵抗感もあったので、とっつきやすさが魅力でしたね。
配信界隈には『スパチャ』と言って、配信者に電子マネーを贈るような文化があります。
自分もだんだんこれにハマっていき、反応してくれることが嬉しくてスパチャを入れるようになりました。
その額は数百円から始まり、数千円、一万円と徐々に額が大きくなっていきます。高額なほど配信者は喜ぶので、達成感や優越感がありましたね。
気付けば派遣の給料のほとんどをつぎ込むようになり、『○日働いたから○円スパチャできるな』と意識するようになっていきました」
VTuberはネット上で〝バーチャルキャバ嬢〟とも揶揄されるが、この光景は、まさにキャバクラで推しにつぎ込む客そのものだろう。
「最初はスパチャの反応が快感だったのですが、非正規なのでだんだん自分の稼ぎでは追いつかなくなり、一人暮らしに向けて貯めていたなけなしの貯金も切り崩すようになりました。
母におにぎりを作ってもらい、職場に持って行って食費を浮かせることもしょっちゅうでしたね」
それでも欲求を制御できなかった男性は、秋頃になって、ついに消費者金融に手を出したという。
「お金が用意できる無敵感から、スパチャの額はどんどん跳ね上がっていきました。しかし、すぐに返済が間に合わないようになり、A社で借りたお金をB社の融資で返す日々。
こんなことが長く続くはずもなく、ついに家に〝お手紙〟が届くようになり、ここで初めて家族にバレました」
観念した男性は、正直に顛末を家族へ説明。両親は呆れた様子を見せたが、今後2度とスパチャしないことを条件に、公務員で厳格な父が退職金の一部から肩代わりして場を収めた。
その額は、およそ600万円にも及んでいたという。
「ギャンブル依存で自己破産する人や、ホストにハマって風俗で働く女性を馬鹿にしてましたが、まさか自分もこうなるとは思っていませんでした。」