今朝2度寝したときの夢。
たしか求人のチラシに載っていて応募した。経験不問だった。電話すると「なかなか人が集まらず困っていた。すぐ来てくれ」と言われ、その通りGoogleマップで住所を調べ赴いた。
そこは三丁目の夕日テイストな古い商店だった。1階は商店、2階は居住スペースになっているらしい。ただ、商店はもう営業しておらず、すっからかんの棚が無造作にあるのみだった。
2階に上がると、しわくちゃの梅干しみたいなお婆さんがいた。どうやら大家さんらしく、浦沢直樹と血縁関係などは無いとのことだった。
そのお婆さんに奥の部屋に案内される。まさしくそこで浦沢直樹は漫画を描いていた。原稿やたくさんの本が散らばる和室だった。今PLUTOを描いていて、早速表紙に消しゴムを掛ける作業を頼まれた。
アシスタントの部屋はどうやら別らしい。手前の部屋の襖を開けると、小太りの青年が必死にベタを塗っていた。これまた昭和な部屋である。
私は空いている机に座り、消しゴムをかけ始めた。部屋の隅にテレビがあり、小さな音量で朝のワイドショーが流れている。
青年がおもむろにそう言う。
私は思わず手元の原稿を見た。PLUTOだ、すげ〜と感激しながら消しゴムを掛ける。
しばらく時間が経って時計を見ると、午後1時すぎだった。急に「そういや今の職場(現実で働いているところ)に辞めるって言ってなかったわ」と思い出す。アシスタント仲間に「すぐ戻ります」と声をかけて出ようとすると、「これ、先生から」とペラっとした付箋を渡された。
内容は覚えていないが、何かの指示だった。浦沢直樹の自画像が添えてある。しかしまあ後で見れば良い。それを机にほっぽって、私は商店を飛び出た。
飛び出て振り返ると、もうそこにあの昭和の商店は無かった。何もない、コンクリートの更地があるだけだった。一瞬の出来事である。
白い看板のような物が立っていて、中学生の男子が2、3人それを読んでいる。後ろから覗き込むと、「浦沢直樹仕事場跡地」と描いてあった。
周りに落書き、というか訪れた人が様々メッセージを書いていた。中学男子は言う。
「へ〜俺んちに20世紀少年あるよ」
「俺んちもなんか鉄腕アトムみたいなやつある」
それはPLUTOだ、そして何話目かの表紙は私が消しゴムを掛けたんだぞ、と口から出かけた時、ああもう幾年も過ぎてしまったんだなと悟った。
あの付箋にいったい何が書かれていたんだっけ、と考えたところで目が覚めた。
不思議な夢だった。