かつてのフェミニズムの議論は、表現や言葉遣いに乱暴な面があったが、少なくとも明るく元気があった。田嶋陽子はフェミニストの中でも評価は微妙だろうが、彼女から「元気をもらった」「心の支えだった」という女性は実際にたくさんいた。一男性として納得できない議論や腹の立つ面も多くあったが、反対する人間も含めて発言や表現を活発にさせるような力を与えていたと思う。
しかし今のフェミニズムは、表現や言葉遣いが非常に洗練された一方で、人々の発言や表現を抑制している面がある。個人的には議論の中身自体は古いフェミニズムよりもほとんど同意でき、腹が立つことも皆無なのだが、「じゃあ何か自分も言わせて欲しい」という活力がまったく沸き起こってこない。とくにPCが問題の中心になっているので、言葉は乱暴でも言いたいことを言えばいい、というかつてのフェミニズムの雰囲気はほとんどなくなっている。
たとえて言えば、昔のフェミニズムは教室でそれを語ったらガヤガヤと賑やかにみんなが喋り出すようなものだったのに対して、今のフェミニズムは教室がシーンとしてしまうようなものになっている。「下手なこと言うとジェンダー差別を肯定していると思われる」ことを非常に恐れているからである。
しかし、ネットに蔓延るアンチフェミも、「男女を逆にすれば…」という何の意味もない屁理屈をこね回すばかりで、議論の活性化を明らかに阻害している。kutooの石川優実氏が嫌がらせに耐えかねてネット論壇から撤退したが、「表現の自由」を標榜する彼らが彼女の自由を言論空間を必死に守ろうとした形跡はない。
昔がよかったということではない。でも昔がよかったかな。
(追記)
ちなみにここで言う「今のフェミニスト」の代表が小宮友根氏。書いているものは大変勉強になるんだけど、女性や性的マイノリティの人は小宮氏の本を呼んで逆に気持ちが沈んでしまうかもしれない、と感じることもしばしば。
確かに誰かを抑圧するために動いてるフシがあるよな
kutooの石川優実氏が嫌がらせに耐えかねてネット論壇から撤退した 青式との議論から逃げたり出版した本の問題から逃げたんじゃなくて?