会社に出入りしてる保険の営業の若い女の子が妹に似ていた。大嫌いな妹にそっくりで、話を聞いて、何度も提案を受けて、たぶん私はこの子の提案してくれた保険に加入する。新卒1年目でも一生懸命頑張っていて、にこにこ笑っていて、話し上手。妹と似てるのは顔だけ。この子なら好きになれる。好きになれば、きっと妹のことも許せる気がする。妹のことを好きになれたら、おかあさんももしかしたら私のこと1ばんの娘にしてくれるかもしれない。むりか。
私だっておかあさんにやさしくしてもらいたかった。家を出て一人暮らしするようになって、ようやく母と妹との距離感をつかめるようになってきた。たぶんそれは向こうも同じで、最近お母さんがやさしい。優しいというか、妹と私をちゃんと別物として扱ってくれようになったというか、私がお母さんに妹と同じように見てもらうのをあきらめたからかもしれない。
お母さんにとって、娘は妹と私しかいなくて、2人の中で1番になりたかったけどどうしてもそれは無理で、お母さんは妹のほうが好きで、大切で、それが悲しくて私は妹のことを好きになれなかった。今もそんなに好きじゃない。お母さんだってまだ55歳の女の人で、子供に対して優劣なく接することは難しい。家を出て働いて、私も多少大人になれたからようやくわかった。
今朝、夢で大泣きして目覚めた。起きてからもしばらく声を出して泣いた。
夢もちゃんと覚えている。家族4人で海外旅行に行こうと誘われた。私はパスポートを持っていなくて、でもなんとなく夢だとわかっていたからパスポートがなくても一緒に海外旅行に行けると思っていた。すごい楽しみにしていた。そのために辛いことでも頑張れた。でも出発直前の空港でパスポートがないと海外に行けないことに気が付いて、空港で泣き喚いた。どうして妹は持っているの、お母さんが手続してあげたから、妹だけずるい、仕事で平日時間が取れないから代わりに行ってあげたのよ、でもそんなの私だって平日どころか土日だって仕事しているよ夢なんだからそれくらいどうにかしてよ。
東京にいるけど実家に戻るなと言われたから一人暮らししていて、正直生活はきつくて、でもそれを悟られたくなくて、母の日にはまあまあいいものをプレゼントした。見栄でどうにかこうにか自分を支えている自覚はある。パスポートも海外旅行も金銭的に無理がある。でもね楽しみにしてたんだよ。聞かなくてもわかる、妹のパスポート手続きも、料金も、旅行代もママが工面したんでしょ、って泣いた。空港で泣き喚いて、困った顔をされて、そこで起きた。ベッドの上で泣きながら、でもパスポートないのは仕方ないよね、3人で行ってきてね、お土産楽しみにしてるね、パスポート手配しなかった私が悪いんだから、私に罪悪感なんて持たないで帰ってきたらお土産話聞かせてね、って言った。
やっぱり私の根本的な弱みは、お母さんと妹と、家族のことなんだろうなと最近益々思う。自立ができるほど子供でいさせてもらえなかった気がする。でも母から暴力を振るわれたわけでもないし、大学まで出させてもらった。世の中にはもっと恵まれない家庭環境の人もたくさんいる。でも、分かってるけど、分かっているけど割り切れない。だから今こんなにも泣きながら文章を書いている。
きっと誰とも結婚できない。このままひとりで死んでいくんだろうなとは思う。金銭的にも精神的にもそんな余裕がない。子供どころか結婚ですらこのご時世贅沢品だ。万が一誰かと結婚して子供ができる機会に恵まれたとしたら、絶対に1人しか生まない。平等に接してあげられないことが、とてもかわいそう
母乳が足らんかったか