芸能人の薬物使用のニュースを見るたび、私にはスポーツのドーピングと同様に見える。「その仕事のために必要な能力や努力を薬物で違法に補っている」という点で。
芸能界に必要な、ハードスケジュールを乗り越える体力、一般人とは違うキャラクターや感性、多くの人前で堂々と振る舞うための高揚感、様々なストレスへの耐性、これを違法な手段で増強しているのではないだろうか。
それはスポーツで言えばドーピングせずに努力したにも関わらず、ドーピングした人に機会を奪われた選手。芸能界だって、まっとうな努力を続けながら薬物使用者に機会を奪われた人がいるのだ。デビューのチャンス、テレビや映画の出演、雑誌の連載、CDショップの棚など、もう一息で手に入れられた機会を奪われた人がどこかにいるのだ。その人にとって喉から手が出るような機会を。
■ 作品に罪はある
ドーピングの記録を世界記録として認め続けて良いとは思わない。
「薬物を一時的に使用しても、いい成果(演技や曲)出せれば、それはいつまでも認められる」というメッセージは「良い仕事を後世に残すためなら薬物使用はオプションの1つだ(逮捕というリスクはあるが仕事の成果が消されることはない)」と認識につながる。
これはその作品が売れれば売れるほど強化されていく。
それに1つ目と重なるが、その作品が売れ続けることは、他の作品の機会を奪い続けることだ。中学生だって、OLさんだって、おっさんだって、お小遣いは有限なのだから。
価値がないとは思わないし、流通を完全に止めるべきとも思わないが、関係ないから今後も全く変わらず売っていきましょう、はおかしいと私は思う。
■ 頑張っているあなたへ
けれど、あちこちで被害者はいない、作品に罪はない、など言われているのを見てるとなんだかな、と思う。
ドーピングしないスポーツ選手を応援したいように、私は薬物や違法行為を行わずに努力している人を応援したい。
もしあなたが芸能界にいて、薬物その他違法な誘惑に負けずに頑張っているなら、私はあなたを応援していると声を大にして言いたい。
芸能界以外でも「バレなきゃ良い」「結果さえついてくれば良い」が横行する世の中で、もしあなたがちゃんとルールを守って日々頑張っているなら、私はあなたを応援していると声を大にして言いたい。
声を大にして言いたい、と言いながら匿名ですまん。
世の中には、芸能界なんて半分ヤクザの世界であるとか裏社会であるという意見もある。 芸能界とスポーツ界を同列にする方が間違っている、と反論されたらどうするの?