友達も恋人もいない。いるのは介護の必要な老いた親だけ。結婚など考えたこともない。
せめて仕事が充実していればと思うが、自分はとんでもない無能に生まれてしまったらしい。
とにかく些細なミスが多い。会話が一発で理解できない。病院に行ってみたら大変微妙なグレーゾーン。いっそのこと重度だったらよかったのに。セーフティーにひっかからない人はどうすればよいのか。
上司からは無能と蔑まれ、口も聞いてもらえない。口を開けば「こんな事も知らないのか」と嫌味しか出てこない。
同僚からも腫物扱い。上司と違って無視されることはないが自分が何か言うと空気が変なことになるのが辛い。
仕事できない。人間関係も上手くいかない。ただあるのは薄給のみ。無能が何とか稼いでる大切なお金だ。
低脳先生とか新幹線の人とか、無敵な人が事件を起こすたび胸がドキドキする。苦しさと不思議な昂揚感。
しがみついているこの仕事を辞めてしまったら、自分も彼らのようになっているのが容易に想像できる。実際に、一時期精神状態がヤバかった時にはすれ違う全ての人に殺意を抱いていた。こいつら全員死ねと。
自分が恐ろしい。刺すか刺さないかの境界の違いとは何だろう。こういう時は優しい人は「刺さなかったあなたは犯人は違う、それは立派なんだ」と言ってくれるけど、犯人との違いなんて自分には分からない。何かがブレーキになった訳でもないのに。事件を起こそうと思ったら起こせただろう。
外から見れば実際に刺したと刺さないの違いは大きいのだろうが、自分から見ればその差には大した意味もない。
一方で、無敵の人の犯人たちにてんてこまいになる健常者の姿にニヤリとしてしまう。何故こんな事件が起きてしまったのか理解しようとあーだこーだ言っている姿にホッとする。憎悪でも侮蔑でもなんでもいい。こちらを向いていることに高揚感を感じる。全く幼稚な感情だ。
一番ムカつくのは、健常者の拒絶よりも同類のこういったコメントだ。
「自分も無敵の人に近い人だけど、だからこそこんな事件を起こした犯人に腹が立つ」
以上駄文。