2018-04-19

ある人の退学に関して

 ある人、大学退学処分だってよ。その事実を知ったのは、ネットニュースだった。

 彼が所属するグループは10年という時を経てやっと、やっとだ、うまくいきかけていた。シングルが年に1度出せるか出せないかからなくて、アルバムの発売も他のグループから比べると遅かったこともあった。コンサートしか仕事がなかった時期もあった。そのコンサートで全員揃わないことだってあった。セットリストは贔屓目を入れても上手いとはいえなかった。当たり前だ。だって曲が増えないのだから

 その中で彼はグループの中だと干されだった。っていうか下手すると事務所内でも干されに入ると思う。そしてその干され具合は現在進行形で、だ。それでも好きだった。なぜなら彼は出来ないことを少しずつできるようにしていった人だったから。彼がそうやって地道に頑張る姿を見て私も頑張ろうと思えたのだ。

 けれど、私は降りることを決めた。他のメンバーからの「彼は出来ない子」扱いがとてもしんどかった。他のメンバー仕事が決まるたびに「羨ましい」その気持ちが勝った。シングルを出しても曲のソロ割は少ない、音楽番組でピンで抜かれるのだって1~2回あればいい方だった。グループ内で差があるのは仕方がなかった。それでも。それでも悔しくて仕方がなかった。私の好きな人だって、踊れるようになったし歌も下手じゃない。かっこいいし優しい。他のメンバーに引けをとらないと私は思っていたけれど、そう思っていた心が砕けた

 きっかけは、ある年から、干され組と勝手に思っていた内の1人の人気が上がったことだった。色んな仕事が増えたのは彼が大学卒業してからの話だった。嫉妬した。彼の努力が実を結んだと理解していても、「羨ましい」と心の内で叫んでいた。もう、何も見ていられなくて、ダメだった。なんでとどうしてが頭を支配してぐるぐる回った。好きなのにストレスになっているなら彼の応援をやるべきだと思った。だから、降りた。それと同時にふと、頭によぎったのは「私の好きな人大学卒業したら仕事(の幅)が増えるかもしれない」という淡い期待だった。その時は、また彼の応援ができるかもしれないと思った。残念な結果になったけれど。

 彼が自分に自信がないのはだいぶ前から分かっていた。だから私は、メンバーもっと彼を愛してほしいと思った。親身になって寄り添って手を差し伸べて頑張ろうねって切磋琢磨し合う関係でいて欲しかった。決して「何もできない癖に粋がるな」みたいな言葉を投げかけて欲しいわけじゃなかった。GPSで居場所がわかるのなら「ちゃん学校行ってる?」って気にかけて欲しかった。

 きっと彼が欲しかったのは、厳しさじゃなくてあたたかい優しさだった気がする。自分卑下しがちな彼に「そんなことないよ」「キミにだっていいところあるよ」と言い続けて欲しかった。彼がちゃん理解し、受け止める日まで。でも、本当はそんな言葉を投げかけてあげるべきだったのは私たちファンだったのかもしれない。もっともっと好きだよって伝えて、キャーキャー黄色い歓声をあげてあげれば良かったのかもしれない。

 ねえ、『キミ』へ。今後どうしていきますか?

 もう学校があるからっていう言い訳が出来なくなったね。

 ねえ、『キミ』へ。まだ、アイドルでいてくれますか。

 まだ、ステージの上で笑ってくれますか。

 ポエミーになってしまったし、降りた人間発言権はないかもしれないけれどどこかで気持ち吐露しておきたかった。それだけ。

  • うんち

  • その、大学卒業したら干され組から抜けた人推しだったけど、もう興味なくなってしまった。自分が好きだったのは干されてる彼だったのかもしれない。彼にはなんとか一級建築士にな...

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