クレカほしい。
湯船に浸かりながら呟いた。遠くからお姉ちゃんが髪を乾かすドライヤーの音がする。きっとお姉ちゃんには聞こえない。だからもう一度呟く。
クレカほしい。
クレカ。どっかに落ちてないかな。駅のホームとか、マックのテーブルの上とか、コンビニの床とか。ぽつん、って。そこにないかな。
だけどわたしが生きてるのは小説や漫画の世界じゃないから、クレカは落ちてない。そこにあるのはしょうもない現実。明日も学校、とか、定期テストの点が落ちた、とかそんな学生あるあるの現状が続いてる。
ここは二次元じゃない。だから落ちてない。でも目が探してしまう。
わたしはとある舞台俳優が好きだ。その俳優は、ファンクラブ代わりにニコニコの公式チャンネルを開いてる。ファンクラブのようなものだから、当然金がいる。
月額540円のそれを払うには、クレジットカードが必要で。学生のわたしがクレジットカードを持ってるわけもなかったから、親に頼んでみた。しかしクレジットカードは駄目だと言われた。ネットでクレジットカードを使うのは危険だから駄目だって。
まあそれはもっともだ。確かに最近ネットとお金が絡んだ事件が騒がれてるし、個人情報が流出したらどうすんのって。親はそういう。正論だけど、正論なんだけど、この正論がわたしは嫌い。
18歳になったら、高校を卒業したら、わたしは一番先にクレカを作る。作ってしまえばそこから先はわたしの問題だ。危険かもしれないけど、それでもわたしはあの人が好きだ。ねえ、クレカがほしい。この先、誕生日プレゼントとかどうでもいいからクレジットカードをください。そしてあの人を好きでいさせて。
でも、わたしは果たして高校を卒業したあともあの人を好きなのかな。二年後、わたしはあの人のことがまだきちんと好きでいるのかな。そもそも、あの人は二年後もカノバレとか炎上したりせずに役者を続けているのかな。
そのうちどうでもよくなるだろうなw
dプリペイドとかmijicaなら3dセキュアいけそうな