2018-04-06

クレカがほしい

クレカほしい。

湯船に浸かりながら呟いた。遠くからお姉ちゃんが髪を乾かすドライヤーの音がする。きっとお姉ちゃんには聞こえない。だからもう一度呟く。

クレカほしい。

湯船から上がった湯気が天井にゆらゆら上っていった。




クレカ。どっかに落ちてないかな。駅のホームとか、マックテーブルの上とか、コンビニの床とか。ぽつん、って。そこにないかな。

だけどわたしが生きてるのは小説漫画世界じゃないから、クレカは落ちてない。そこにあるのはしょうもない現実明日学校、とか、定期テストの点が落ちた、とかそんな学生あるあるの現状が続いてる。

ここは二次元じゃない。だから落ちてない。でも目が探してしまう。

クレカの小さいカードを。






わたしとある舞台俳優が好きだ。その俳優は、ファンクラブ代わりにニコニコ公式チャンネルを開いてる。ファンクラブのようなものから、当然金がいる。

月額540円のそれを払うには、クレジットカード必要で。学生わたしクレジットカードを持ってるわけもなかったから、親に頼んでみた。しかクレジットカードは駄目だと言われた。ネットクレジットカードを使うのは危険から駄目だって

まあそれはもっともだ。確かに最近ネットお金が絡んだ事件が騒がれてるし、個人情報流出したらどうすんのって。親はそういう。正論だけど、正論なんだけど、この正論わたしは嫌い。

18歳になったら、高校卒業したら、わたしは一番先にクレカを作る。作ってしまえばそこから先はわたし問題だ。危険かもしれないけど、それでもわたしはあの人が好きだ。ねえ、クレカがほしい。この先、誕生日プレゼントとかどうでもいいかクレジットカードをください。そしてあの人を好きでいさせて。





でも、わたし果たして高校卒業したあともあの人を好きなのかな。二年後、わたしはあの人のことがまだきちんと好きでいるのかな。そもそも、あの人は二年後もカノバレとか炎上したりせずに役者を続けているのかな。



ドライヤーの音が遠くから聞こえる。

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