「レイプするなとさえ言われない」:トランス男性の目から見た男性特権25例 という記事があり、とても面白く読みました。
これはトランス男性、FtMの視点からのものですが、わたしはMtFで、現在は戸籍も女性でいわゆる埋没、つまり来歴をオープンにせずに埋もれて生きている人です。
ここで書かれていることの少なくとも一部については、わたし自身も逆の関係で覚えがあります。
カミングアウト状態の中くらいの状態、移行し埋没後、と段階的に経験しましたが、最初の頃は「ナメられてる」感にイラッとすることが時々ありました。
なんというか、女というのはデフォルトでナメられているもので、しかもそれがあまりに自然に慣習と一体化しているため、男性もナメている自覚がなく、女性もナメられている自覚がないことがよくあります。
ここに一々カリカリしていては上手くいかず、逆にある程度ナメられを受け入れてテキトーに流していると、結果的に上手くいくことがあります。
こんなのは生まれつきの女性には当たり前のことで、ほぼ無意識に操作できるものなのでしょうが。
トランスが中立な立場などということは全然ありませんし、この人にせよわたしにせよ、ニュートラルな立場で見ているわけではなく、色々とバイアスがかかってはいると思うのですが、率直な感じとしてはそう思います。
もちろん、何もかも男性が優位というわけではなく、女性ならではの特権というのも色々ありますから、単純に比べられるものではありません。
男性社会というのは、はっきり言わないでも暗黙の上下関係みたいなものが支配していて、男性はこうした序列に敏感なのですが(ほぼ無意識も含めて)、女性は割とこういう序列を無視して振る舞える場合が結構あります。この辺、女性の方が鈍感な傾向があると感じます。「アンタ男だったら殴られてるで」みたいな。
まぁ別に、これをもって男性優位社会を批判するとか、そういう意図はなくて、ただ普通に暮らしていると結構気づかないようなバイアスが色々働いているなぁ、と興味深く思うまでです。
旅行してみて初めて気づく自国の良いところ、悪いところ、みたいなものです。
もちろん、旅行者やわたしたちのような立場の人間独特のバイアスというのもあって、その辺はわたしたちの方が鈍感なのではないかと思いますが。