先日、実家に帰った。
すでに父は話すのもたどたどしくなって、排泄も何回かに1回は失敗するほどには老いていた。
ただ、下半身と内蔵の弱りからくる、弱々しさは見ていて辛かった。
母は、これを毎日やっているのか凄いな。そしてごめん。
俺には兄弟がいる。
父親には、バブルの頃に買わされた北関東の土地がある。固定資産税がわずかに毎年引かれている。
持ち家だが、名義がじいちゃんのままらしい。そんな話をはじめて母親から聞かされた。
相続税とかいくらかかって、どうやって兄弟でやりくりするんだろう。
母親が毎食後、父に薬を飲むよう励ます。たしかに多くて辛そうだ。
朝は10種類近くの薬を飲む。たどたどしくプルプルと震える手で、封をきり小皿に錠剤をまとめ飲む。
常人の俺が見ていてもつらそうだ。うっすらと目に涙を浮かべているように見える。
朝が一番多いのだが、少ない夜でも5~6種類の錠剤と顆粒剤が2袋。
排泄物の調整や体のもろもろの調整だそうだ。病院に行くたび、症状を伝え、都度調節して配合しているらしい。
そうして、俺らの保険料が使われているのも、親孝行だと言い聞かせるために、俺は帰っているのかもしれない。
薬が無料になったことを嬉しそうに話す母がいた。
幸いボケてはいないものの、意識のあるうちに、少しづつ移してほしいとも思う。
また、元気であっても、もろもろの資産を処理する時、もう父は判断や出向くことは難しいだろう。
何かしらそういう制度はあるらしいが、ネットや書籍で、介護や相続、排泄処理などの
アクショナブルな具体的な情報が意外と少ないことを知った。知恵袋でも意外となかった。
だから元気になってほしいそうだ。
そして、俺はぽっくり行くにしても病院で逝ってほしいと思った。
自宅で看取るのが合理的って意見もあるらしいけど、父の兄弟からしたら、何されたかわからない、そう言われそうで俺は怖い。
お金の心配とか解決してくれて、その後に病院でぽっくり逝ってくれれば、一番ありがたいと思った。
それでも、父は尊敬しているし大好きだ。
どう老いるかってほんと難しいな。
そして、そんな父にも選挙権がある。
俺には明日も業務がある。
生んでくれて本当にありがとう。