2014-05-16

科学」は「情緒」に絶対に勝てない。

47newsの「美味しんぼ」の5月19日発売号の画像を見て欲しい。これが一番画像が大きかった。

美味しんぼ「批判受け止める」 編集部が最新号で見解

http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014051601001779.html

見ただろうか?たぶん見てないだろうから簡単に解説する。

右ページには、士郎と雄山の2ショットが1コマ、ゆう子の1コマ

左ページには、上部にかろうじて「ご批判・ご意見」が見えるだけで、あとはびっしりと4段組で何か書いてある。

実に象徴的で、根源的な本質を示してる。

「百聞は一見しかず」

正しいデータ論理的な組み立ても、平静なコストリスクの話も、何もかも士郎と雄山漫画に敵わない。

判りやすさは、相手に何かを伝えるときに、それ以外のほとんど全てに優先する。

そして、「情緒」はとても判りやすく相手に伝わる。

「絶対ではありませんし、副作用も少ない可能性ながらあります

医療は、高度に発達してきた。

同じように、患者を対等な立場として扱う枠組みも、ずいぶんと整ってきた。

法律的にも倫理的にも正しくあろうとする医者は、嘘をつかない。つけない。

から、「抗がん剤治療にはかなりの副作用が予想されます。五年の生存率は40%です」という言い方をする。

「この検査では少ないながらも重篤な結果を引き起こす可能性がある為、承諾書署名必要です」と言う。

大丈夫よ。みんな良くなってる。心配いらない。ほら、先週よりずいぶん気分が良いでしょ?」

西洋医学では治せないものでも、我々なら治せる。正確に言えば、人間自然治癒力を助けてあげてるだけ。

そういって優しく寄り添って大丈夫と言ってくれる相手を、「重篤な副作用を受け入れる承諾書をせまる」医者が非難する。

辛いとき安心を与えてくれた相手を、普段顔も見せない息子夫婦が「トンデモ」といってバカにする。

疫学的には科学的にはデータリスクが機序がと言う相手と、痛いところをゆっくりとさすって話をずっと聞いてくれる相手。

そして「治る」と断言してくれる相手。「絶対に問題はない」と断言してくれる相手。

心の弱った人は、どちらを頼り、どちらを信じるだろうか。

情緒」は決して正しくはないが、それでも人はそちらを選ぶ

自分が聞いたことは信じたい。少なくとも彼はそう言った。彼は誠心誠意、誠実であろうとしていると私は感じた。

それを素朴に漫画にされたときに、その内容が科学的に正しいかどうかは、読む人にとっては関係が無い。

科学者は結果の分からないモノを判らないと言うし、リスクが不明なモノは不明だとしか言えない。

から、「危険だ」「影響がないとは言えない」「それは愚かだ」と断言する人達には絶対に勝てない。

絶望せずにひたすらにやるしかない

悪意をもってデマ拡散させる人間よりも、善意をもってデマ拡散させる人間の方が、圧倒的に多い。

そして、絵は文よりも力がある。影響力が強い人には、熱意と根気と情緒でもって科学的に正しい理解をして貰う他に無い。

読む側を啓蒙して科学的な素養を与えることは、恐らく絶望的に困難だ。

から雁屋哲花咲アキラ小学館編集部に対して、非難や批判や馬鹿にすることよりも、

ただひたすらに彼らに届くように情緒でもって科学的な正しさやその判断基準を語りかけ続けるより、他に方法はないのだ。

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