はてなキーワード: コリドラスとは
淡水魚を飼っている。
魚を飼っている人はわかると思うが魚は可愛い。各々性格があり、陰キャなやつからアホなやつまで同種でも色々いる。
特にコリドラスはとてもとても可愛い。水流にのって遊んでいる姿やお行儀よく餌を咀嚼している姿は他のペットに引けを取らない可愛さだと思う。
ただ、魚を飼っていると言う話を魚を飼っていない人にしても非情に反応が悪い。
いつだかリモート飲み会をしたとき、自宅のペットを見せる流れになった。抱き上げられるネコチャンや何か喋っている鳥。なんだかよくわかっていない犬。皆とても可愛くてカワイイ!イイナーなんて言葉が飛び交った。
そういうわけで我も我も!と、水槽をうつしたものの、「自然」「癒やし」みたいな声しかなかった。まあ水草が綺麗だからね。癒やしだね。でも魚に「可愛い」はないのだ。というかそもそも魚へのコメント無かった。何の魚?とかすら。
可愛いペットなのでSNSに写真をアップしたりアイコンを魚にしたりしても、基本的に無反応だ。まあこれは自室にポスターを貼るような感覚なので別に反応されなくても構わないが、ネコチャンだったら全然反応が違うのになあとは思う。
場合によっては魚を飼っている、というと「ネコや犬は?」と聞かれる時すら有る。魚はペットじゃないかのようである。
自分の親がペットを飼いたいと言ったときにも魚をすすめたけど、「魚は懐かない」と嫌がられた。気持ちはわかるが。そもそもなついてほしいがためにペットって飼うものなのか。とちょっと違和感を感じた。あと厳密に言えば哺乳類でも懐かないペットって結構居るし。
確かに魚はあんまり頭が良くないので芸を仕込んだりはできないが、餌をくれと言う仕草もするし、家に帰れば声を聞いて寄ってくる(餌がほしいだけではあるが)。知らない人が家に来ると怖いのか皆隠れてしまう。ちゃんと人間を判別する。可愛い。
ただまあ、実のところ自分も魚を飼うまで魚が寝るということすら認識していなかった。今は水族館でも寝ている魚がすぐわかるが、以前はわからなかった。ちなみに魚も夢を見るのかはわからないが、寝ぼけて突然泳ぎだして石に激突していることがある。可愛い。
つまるところ皆魚のことをよく知らないから可愛いのがわからないのだ。実際魚を飼う人は魚可愛いねぇ~!!なんてテンションを上げてくれるものだ。もうちょっとペットとしての魚の可愛さが知れ渡るといいと思っている。
昨日、飼ってたコリドラスが死んだ。
「うわっ、死んでる」
水槽の方からそんな感じの声がしたので、私も水槽を見に行った。
すぐに死骸は見つかった。と同時に
「怖っ」
怖がって物陰に隠れるのなんて何年ぶりだ。
小さい頃、北斗の拳が怖くて、物陰からテレビを見ていた時以来か。
水槽の底でひっくり返ってるその死骸は、ただの小さくて無害な魚なのに、びっくりするくらい怖かった。
白く濁ったお腹が LED ライトを反射して、不気味なくらい光っていた。
ああこの死体を忌避する気持ちとかが DNA に組み込まれていて、私の先祖はそれでうまいこと生き延びてきたんだなあとかそんなことを思った。
死骸はティッシュでくるんでジップロックに入れて密封して捨てた。
魚の腐ったにおいはくさいだけじゃなく物悲しい気分になるから。
昔、飼ってた金魚のお墓をべそかきながら作った思い出が蘇るから。
そして怖さも薄れてきた今日、いつも通り晩ごはん(おかんの気まぐれ炒め ~季節の汁物を添えて~)を作っていた。
豚肉を炒めている時、いつもと感じが違うことに気付いた。
豚肉が違うんじゃなく、私の感じ方が違う。
いつもなら、焼けていく豚肉を見て、あーうまそー、今日もうまいぞー、きっとうまいぞー、なんてはばかりなく自画自賛して、心の中でよだれ出てるのに、今日は心がカラッカラのまま。
じっと豚肉を見ていたら、昨日の死骸を思い出した。
ぞわっときた。
コリドラスってナマズなんだけど、見た目は「魚!」って感じで、生きて泳いでる姿はそこそこおいしそうに見える。
でもあの死骸は全くおいしそうではなかった。
というか食べられるかどうかという発想すら出なかった。
今焼いている不透明でグニュグニュしたものも、あれと同じ動物の死骸なんだよなって思ったら、一気にぞわぞわにやられちゃって、ちょっとの間台所を離れた。
何かの死体を見て、ここはやばい、退避だ! みたいな動きを本能的にできるから、危機的状況をうまく回避して、ご先祖様は生き長らえたんだと昨日は思ってた。
でもこれ、食事できなくね? 食料扱いでいい動物の死にまでびくびくしてたら、餓死すんじゃね?
そこは理性でぐっとこらえたのかなあ、それとも慣れるのかなあ、昔はもっと死が身近だったから本能を飼い慣らす訓練もしやすかったのかなあ、じゃあこの本能役立ってなかったんじゃないかなあ、びびって狩りできないとか昔なら間違いなく役立たずだよなあ、というか今も役立たずだしすぐ死にそうだ、うん、私文明なかったらすぐ死ぬタイプだ、今は奇跡的に生きてるけど、ちょっと間違ってたら腹光らせて死んでたのかもしれない。
なんてこと考えながら茶碗にごはん盛ってたら、奇妙な盛りになった。