2023-02-26

今度こそ伝われ囲碁の楽しみ方

数ヶ月おきに定期的にやってくる(?)囲碁解説ブームがまた来ているようなので、例のごとく乗っかります

囲碁の話で、はてなの皆さんから出てくる疑問ってだいたい同じものに絞られるので、そのたびに私を含む色んな人がそれに対する回答を提出しているのですが、相変わらず同じ質問が頻出している様子。

どうも一か所にまとまっていないのが悪いのかなと思うので、何番煎じかわからないのですがまとめます

これからまた同じブームが来た際はどんどん引用してほしく思います

どうやったら終わるのかわからない

「どちらも次の手を打つ気が無くなったら終局」です。

これはネット碁ゲームなどでは「双方が連続パスをしたら終局」のようにルール化されることもありますが、基本的には双方の意思表示によって決まります

打つ気が無くなるとはどういうことかというと、「これ以上どこに手を入れても入れた側が点数を高められない、または、手を入れた側の損になる」という状況が、囲碁を終盤まで進めていると必ず来ます

そのタイミングを見極めて終局を提案したりパスをするのです。

このタイミングの見極めも初心者にとっては重要であり、もう膠着状態だと思ってパスをしたらまだ詰められる場所があって損をしたりします。

逆にここは覆せると思って手を入れてみたらその分損をしたり。終局も実力のうちです。

どうやったら勝つのかわからない

対局が上記の手順で終局し、その終局した時点で、自分の石が囲んでいる面積が広い方が勝ちです。

途中で相手の石をとった分はポイントに加算することができますしかし、多くの場合、この取った石の数は陣地の面積に比べて大した量でないことが多いです。

なので対局中はたくさん相手の石を取ることよりも、多くの陣地を囲うことを考えるべきです。

石を取るのは、それを取ることによってより多くの陣地がごっそり稼げてしまう時に、陣地に対する攻撃の一環としてやることです。

なんであっちこっち戦場が動くのかわからない

特にプロの対局だとそうなりますよね。でもこの「戦場の移り変わり」は囲碁原則を知っていればある意味当然の現象と言えます

その原則とは、「相手よりたくさん陣地を取った方が勝ち」というルールの根幹にあたる部分です。

囲碁はお互いの手数は常に交互で平等なので、相手と同じ一手で相手よりも価値の高い手を探さないといけません。

ですから、当然ながら「一手で最も陣地がとれる座標」に石を置く必要があります。この「最も陣地がとれる座標」が常に移り変わっているというだけですね。

直前に相手が石を置いた戦場は、その分だけ相手の力が高まっている場所なので、通常、そこに手を入れるよりももっと未開の地を自分のものにしたほうがより陣地を取れる可能性が高いです。

なので序盤は特に、お互いの目をつける戦場あっちこっちに移り変わることが多いというか、上記を踏まえれば当たり前と思えますよね。

中盤の戦いがちょっと混線してきた場合でも、「ここはもう戦いの中で価値が失われてきているので、ここを捨ておいて総取りされたとしても反対側の陣地を取った方が大きい」となれば当然にそちらに行きます

もちろん初心者にとってはこの見極めもうまくいかないことが多く、「総取りされても価値が低い」と思った場所がやはり価値が高かったりすることもあります。これも実力の出るところです。

石を取られる条件が分からない、どうしたら取られなくなるのか

「連結した自分の石の隣が全部相手の石に塞がれたら」です。

石を置くと、その上下左右に4本、線が出ていますよね。この線がいずれも相手の石に塞がれたら死んで取られます

盤の端だと、線が3本だけだったり、2本だけになります。この場合はその3本ないし2本が塞がれたら、死んで取られます

隣が相手じゃなくて自分の石なら、それらは連結している扱いになります。連結している石から出ている全ての線が、相手意思に塞がれたら死にます

なので、どんなに石を連結させて広く敷き詰めても、その周りが全部塞がれたら終わりです。

取られないようにするには、石をたくさん連結させるのではなく、うまく「空気穴」をあけることです。

連結している石の内部に穴があると、相手は周囲を全部塞いだうえにその穴までも塞がないと、全部の線を塞いだことにならず、その石がとれません。

ところが穴が二つ以上あると、相手基本的にそれらの穴を全部塞ぐことはできなくなります。なぜなら一つ目の穴を塞ごうとした石自身が塞がれている状態になってしまうからですね。(置いた直後から死んでいる状態になる石は置けない)

穴が一つだと、その穴に入れることがトドメとなって線が全部塞げるので、取れてしまますが。(この場合石を取ることが先に発生するため「置いた直後から死んでいる状態」にはならない扱い)

なので、どんどん敷き詰めるのではなく空気穴を2つ以上用意すること。これが石を取られなくする絶対条件になります

やってみたけどわからん面白くない

ここからは非常に個人的な考えですが、私的に、初心者に九路盤での対局を進めるのが広報上最も良くないことだと思っています

囲碁本来十九路盤で行います。十九路盤はとても広く、なかなか対局が終わりません。なので初心者には面白さが分かる前に飽きが来るので、難しいとされます

ですが、だからといって九路盤はどうなのでしょう。確かに九路盤は小さく、すぐに対局が終わります。でもそれによって意図していた「囲碁面白さをインスタントに伝える」は実現できているのですか?

あれだけ狭いと陣地の概念も何もありません。相手の石を取ることの比重がかなり高くなり、石の取り合いになります

また、どこをとっても盤の端なので、初心者にとってかなり難しい「端の攻防」ばかりになります

特に競っている間に角から次の角まですぐに到達するので、十九路盤ではありえない、盤全体を埋め尽くすような謎の攻防が起きて、ルール自体疑念が湧く人もよく見られます

端的に言うと九路盤と十九路盤ではルールは同じでもその広さによってゲームのものが変わります

上で述べた囲碁醍醐味である「石を取るより陣地」「適切な戦場を見つけ出すセンス」「終局間際の攻防」などが全部無効化されてしまうのです。

たとえば遊戯王カードでお互いのフィールドが通常モンスターゾーン1枠、魔法ゾーン1枠しかなければ、その他のルールが全部同じでもゲーム体験はかなり損なわれるのではないでしょうか?

個人的には「対局が長くなるから初心者には厳しい」という意見には頷けません。

もし九路盤で囲碁体験してみて面白くなかったという方は、一度だけでも十九路盤で、一局を通しての楽しみを体験してみてほしいと思います

  • 包囲基石と言えば拠点の打ち合いでドミナント戦略、囲い込みということがイメージしやすいだろう 各碁石の連絡性や価値の高さを標高のように立体的に、経時的にそして場合に分けて...

  • 19路盤だと1局の時間が長すぎる 13路盤くらいが丁度いい

  • 「連結した自分の石の隣が全部相手の石に塞がれたら」と、陣地の関係がよくわからん。 そもそも陣地ってルール的にはどのように定義されてものなの?

  • 布石や戦いがなく定石と寄せで終わる感じで楽しさをスポイルしてる なるほど納得。

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