2022-11-04

愛しきれないかもしれない推しのこと

実写化でもまあまあ見れる、それどころかかなり良いかんじの作品も増えてきた。

そんなことは百も承知で、私の推しの話をさせてほしい。

くだらない話なんだけど、どこかに吐き出さないとやっていられない。


お察しの通り、実写化された作品についての話だ。

原作は、サイバーパンク世界観で、探偵助手コンビを中心に展開するオムニバスである

私は、作品箱推しするタイプだ。ただ、この作品に関しては、主人公二人をかなり推している。関係から人物から、嘘じゃないかって思うくらい好みだった。


実写化における懸念は多くあった。

まず、助手の外見である。もともとは宇宙人で、地球環境に合わせて体を作り変えたサイボーグだ。原作では、外見にひと目みればその人とわかる強烈な特徴がある。

アクションが多い作品ではあるが、探偵戦闘(というか人を傷つけるのを)を好まないので全然戦闘能力がない。荒ごとはだいたい助手担当だ。

主にこの二点だが、これがもう見事に無視されている。

わかってはいたが、こんなに清々しいと怒りよりもあっけにとられる感覚が強い。

助手は至って普通の女になっていたし、探偵は小さめのピストル携帯し、いざとなれば助手の背後に迫る敵対者を撃ち殺してウインクなどしてみせる。控えめに言って解釈いである。


助手の話をさせてほしい。

彼女(一応作中では彼女、と言われているので彼女と呼ぶ)の設定はやたらと複雑だ。もちろん、だからこそそれをすべて実写作品にも盛り込めなんて無茶は言わない。

私が許せないのは、前述した外見的特徴を消してしまたことだ。

これは、彼女アイデンティティといっても過言ではないものだ。地球で一人っきりでいる彼女の、宇宙人としてのアイデンティティのもの。これを製作者は取り払ってしまったのである

この際、中性的慇懃言動が今どきの流行りに載っていわゆる「強い女」テンプレにはまっていたこともいい。良くないがまあ良い。いや、自分に言い聞かせてはみたがやっぱり良くない。

助手のことを単なる暴力女だと思っているんだろうか。

もともと、因縁があって探偵を憎んでおり、虎視眈々と彼を殺す機会をうかがっている助手である

だが、無益暴力は振るわない。その程度の分別もない愚か者だと思われているっていうことなんだろうか。

当然のように外見と性格の件でTwitter炎上しているが、これについて制作側のコメントはない。

映画オリジナルストーリーに関しては……アクションだけはよかったんじゃないかな。

助手が不意をつかれて攫われたり拷問されたりするなんてことは、原作を見ればありえないことくらいわかるはずだ。

助けにきた探偵を見てちょっと嬉しそうにするなんてこともまずない。


探偵についてもそうだ。

そもそも博愛主義で誰も(物理的に)傷つけないことを信条に動いている彼が、身を守るためとはいえ人に向かって発砲したり、まして頭を狙うなんてあってはならない。これは誰でも言うと思う。

人を傷つける探偵、正直ただの女の助手と同じくらい見たくなかった。


男女の組み合わせを安直カップルみたいにする風潮、なんなんだろうか。

だって嫌いじゃない。二次創作ならおいしくいただく。

でも、実写化ってまがりなりにも公式だよね?

原作者の発言力ってそんなに低いの? それとも、原作者がGOサイン出したってこと?

でも実写版実写版原作原作だ。

なかったことにして原作を引き続き推すつもりだ。だった。本当だ。


最近出た新作の短編を読んでから、その気持はゆらいだ。

助手探偵に対してやや心変わりをしつつあるのを見たからだ。こんなに心が乱れたことはない。ていうか実写映像見たときだって正直まあそんなもんだなって思ってた。

でも、あんなに探偵を嫌ってた助手が、ほかでもない原作で、探偵を信頼しつつある。

しかしたら、全体の流れからしたら、諦めとかそういう気持ちがわいてきても不思議じゃないタイミングかもしれない。

だけど、あの実写の後だ。

もし原作者があの設定を気に入ったんだとしたら?

これまでの設定を気に入ってた私みたいなファンはどうしたらいいのかな。

あんなに好きだった作品を、今までと同じ気持ちで推せる自身が、もうない。

  • 傷心のところ申し訳ないけどよかったら作品名教えてほしいです

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん