2017-10-14

anond:20171014212057

けもフレ経済学(2) 続き

2.顧客商品に不満があり抗議を行った場合株価に影響を与えるのか?

直接的にはない。業績に影響が出て初めて株価に影響があると言える。

経済モデルフロー循環というものがある。

このモデルでは、顧客商品を購入する場は財・サービス市場である

また、株主が新株を購入する場は生産要素市場である

ただ、今回気にしている株価は、そのどちらでもなく、株主が発行済みの株の売買をする場=株式市場である

株式市場では、顧客という登場人物は現れない。(と思うが、あまりはっきり分からなかった)

(参考図 他力本願 フロー循環 http://nomura.nagoya/?p=76

財・サービス市場では、商品サービス需要供給価格が決まる。

商品に不満がある場合は今後需要が減る方向になると考えられる。

需要供給曲線で考えると、需要が減るので、需要曲線自体が移動し、供給と均衡する点(価格)が下がる。

企業としては価格が減ることは業績が悪化することにつながる。

(参考 進研ゼミ http://chu.benesse.co.jp/qat/3519_s.html)

株式市場でも、株価株式需要供給関係から決定される。

ただしこちらの需要供給は様々な要因から決まるので一概には言えない。

要因の大きな一つとして企業の業績が挙げられる。

これは株の配当金(インカムゲイン)が企業利益を基に分配されるためだ。

業績は決算有価証券報告書(有報)にて公開される。

そのため、決算タイミング株価が大きく変動することはある。

実際、カドカワは今年8月決算にて営業利益減の報告を行い、その日は大幅に株価を下げている。

(参考 Yahooファイナンス カドカワ 9468 3カ月チャート https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=9468.T&ct=z&t=3m&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v)

まとめ

顧客株価は直接の関係はない。

ただし、企業の業績を通じて間接的な関係を持っている。これによる影響は無くはないが反映はずっと遅い。

3.降板事件により株価は下がったのか?下がってないのか?

判断が難しいが、降板事件の影響は殆ど無かったように思える。

株価は様々な要因から決まるため、決定的なことは分からないが、関連していそうな所を調べた。

日本経済新聞でのニュース

事件の翌日に、日経に取り上げられた内容では前日比45円安(3.3%)まで下げたと発表された。

しかし、冒頭に示した通り、2日後には元値に戻している。

(参考 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL26HTI_W7A920C1000000/)

株価チャートの動き

株価チャートの75日移動平均線を見ると、減少トレンドとなっている。

しかしこれは降板事件以前よりの継続であり、降板事件の影響は不明である

(参考 みんなの株式 9468 http://minkabu.jp/stock/9468/chart)

自社株買いの影響

8月よりカドカワは自社株買いを行っている。

自社株買いは、流通している株が減る=株価が上がるという性質上、株価の下支えとなる。

しか降板事件直後~9/30までは、自己株式の取得を一時的に止めていたようで、その期間では株価は堅調な動きを見せている。

(参考 有報速報 カドカワ株式会社自己株券買付状況報告書 https://toushi.kankei.me/c/19535/d/S100BG4E)

投資家の動き

カドカワ株式機関投資家保有割合が多いため、そもそもニュースなどによる影響を受けにくいという意見があった。

株主比率を元に、この意見を調べた。

6月の有報によると株主比率は以下の通りである

区分所得株式数の割合(%)
金融機関金融取引業者27.43
法人18.45
外国25.07
個人29.06

(出典 カドカワ IR 有価証券報告書 3月http://pdf.irpocket.com/C9468/jwgy/WV9L/NWVj.pdf)

個人から筆頭株主川上氏の8.02(%)と自己株式分1.83(%)を引くと個人株主比率は19.21(%)となる。

たこの有報以降の大きな変化点として、自社株買いを進めている点、外国法人(ダルトン・インベストメンツLLC)が7.07%取得し筆頭株主第2位になっている点より、個人投資家の占める割合さらに低くなっていると考えられる。

長期投資目的金融機関や、業績・各種指標を基にした外国人投資家ニュースによる影響を受けにくいとした場合

降板事件で影響があるのは個人投資家部分のみで多くとも20(%)未満となる。

個人投資家全体が失望するということはまずないので、最大でもその半数程度(10%未満)として考えた場合

その人たちが仮に株式を投げ売ったとしても、株価暴落を期待するには若干弱い数字であると言える。

まとめ

降板事件によって株価が下がったとは言えない。

終わりに

ただのアニメファンとして分かったことは以下2点だ。

  1. 株価株式を売買している人が損したり得したりするので、ただのアニメファン株価煽りあったりしても(ほとんど)しょうがない
  2. 業績に直接影響の出るプレミアム会員解約はものすごく堪えそう…今度の決算タイミング株価が大きく変動するかもしれない

阿部マリオに感動してた個人としては、これから政府追い風日本コンテンツ大国化が始まるんだぜ!と勝手に思っていたけれど、

色々調べていくうちにCoolJapan政策の最悪な実態(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8306)や

コンテンツビジネスが実は衰退しているとの分析(https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/m1048.html)なんかがあったりで、心底ガッカリしてしまった。

それでも国内既存ビジネスモデルが弱体化している中で、カドカワ川上氏)は積極的に手を打っているように思う。

ピンチはチャンスとして、降板事件については業界顧客すべてが最終的にプラス解決することを願うばかりだ。

また今回の事件を踏まえて、今後キラーコンテンツキラーと呼ばれるような行為是正されていくことに期待したい。

記事への反応 -
  • 「は?たつき監督下すとか正気か!?どう考えてもアニメ大ヒットの功労者じゃねえか。カドカワは頭鉄華団かよ?」 ツイッターでは、発端となったたつき監督のツイートが2時間で...

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