日経トレンディネットの下記の記事を読んだ。「ユーザーから新しいアイディアは出てこない」との部分に、ありそうな話だと思いつつも、それでいいのかなと少しもやもや感が残った。
プリ機は“本当のかわいい私”が写る!? 驚きの女子高生の感覚
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140609/1058349/?ST=life&P=1
記事によると、プリクラ機メーカーは、開発時にユーザーである「女の子たち」にヒアリングを行うが、「女の子たち」は、既にあるものへの改善の意見はいうが、斬新な新しいアイディアが出ることはないという。また、革新的な企画で意見を求めると、ヒアリング対象の大半の子が「要らない」とか「いやだ」と反発するそうだ(発売後、ゲーセンに設置されれば当たり前のように飛びつく機能や商品であっても)。
「既存のサービスへの改善は出るが、新しいアイディアが出ない」のは、プリクラ機の主要ユーザーである「女の子」の特性ではなく、ユーザーからのヒアリングという調査手法の特性ではないか、と思う。
そういえば、ちょっと違うかもしれないが、「イノベーションのジレンマ」(1997)という本でも、顧客満足度を追求していくと既存商品の改善のみとなり、革新的な技術が生まれないことが指摘されているから、以前からの問題なのだろう。
私はプリクラ機メーカーとは全然違うが、自治体の特定分野の計画策定支援の仕事をしていて、仕事の中で市民アンケート調査やヒアリング調査をすることがある。アンケート調査やヒアリング調査では、既存のサービスへの改善要望は出やすいが、新しいアイディアや潜在的なニーズは把握しにくい、とは感じている。
そんな中、自分が調査対象の一市民としてアンケート・ヒアリング調査をされたことがあった。調査は市職員等が街頭で市民に声をかけ、A4一枚のアンケートに記入を依頼するもの。ところどころで調査員が口頭で説明を補ったり質問したりする。質問項目は、買い物をする場所などの、日頃の行動パターンをきくものと、空きスペースにどのような施設があったらよいか、どんなまちになったらよいと思うか、といった今後のまちのあり方をきくものだった。
日頃の行動パターンの方はありのまま答えればよいからよい。問題はまちのあり方の方。特に何も思い浮かばない。特に今のままでも問題もないなと思った。アンケート調査票に示された選択肢に適当に丸をつけて回答を終えた。道を歩いているときに突然声をかけられて面倒くさいな、という気持ちもあった。回答を終えてその調査のことは忘れていた。
数カ月後、私は「駅前にこういう施設があったらいいのにな~」と考えていた。それについて考えるのは初めてではない。何か月かに1回くらいふっと思う。どこかの企業でそういうビジネスはじめないかなあー、いや、自治体がそういうのを事業として整備してもいいんじゃないか、将来的に自分が起業するとかありかなーいや無理かー、とか。と、そこでふっと数カ月前の調査のことを思い出して、「あれっ、この前のアンケートのとき、これいっとけばよかったんじゃない?」とはっとした。実際に調査を受けているときは全然思い浮かばなかった。考えてみれば、他にもこのまちではこういう商品売ってる店がなくてちょっと不便だなーと思ったことなど、そのときいっとけばよかったんじゃないのということが後からでてきた。調査の対象で回答したのに、実は私のニーズは全く反映されていない。もちろん私が思った「あったらいいのに」がどのくらいのニーズがあるのかはわからないから、調査で回答していたとしてもそれが採用されるべきかどうかはわからない。何万人いる市民の中で私一人だけかもしれないし、市民の大多数がほしいと思っているかもしれない。けれど、何万部の一人の意見としての調査の回答だったのだから、いっとくべきだったな、と思う。
でも、それはやっぱり無理なんだろうと思う。「どういうまちであるべきか」といった「まちづくり」から入って考えると、なかなか出てこない。調査回答時に、過去の日々でちょっと不便だな、困ったなと思うことをリストアップして、調査対象に関連して解決できそうなものを抽出する、という作業が瞬時にできれば回答できるのだろうけれど、それはなかなか難しいから、アンケート・ヒアリングで新しいアイディアは出てこないのだろう。
「アイディアとは既存の何かと何かの組み合わせである」といった人がいるそうだが、はじめの例でいえば、プリクラ機についてのヒアリング調査を行えば、既存のプリクラ機を使用するときを想定して回答するであろうから、新しいアイディアは出ないのだろう。きっと新しいアイディアのためには、プリクラ機からいったんはなれて、日々の生活の中でのちょとした不便や「あったらいいな」の方から、プリクラ機に結びつかないか考えることが必要なのだろう。
ユーザーにヒアリング調査をしても新しいアイディアは出てこないかもしれないが、潜在的なニーズはユーザーの中に確かにあるはずだ。これだけスマホが普及して手軽にどこでもネットにつながるようになったのだから、潜在的なユーザーのニーズもくみあげる仕組みはできないのだろうか。各企業や自治体のHPに「あったらいいな」を投稿できる場所があって、ふと思ったときにすぐ投稿できるとか?
良記事なのでブログに書いてください
ブコメにも「増田らしからぬ」とあって、増田は、普通のブログだと書くことがためらわれる内容を書くべきなんだろうか。。(性的な話題とか多いですもんね) このコメントみて、今...
自分は元増田みたいな発想はできないけど、 ブログを書くことだけに関してはほぼ同じ感情を抱いている。 だから、実体験からこう言いたい: これまでネットの匿名文化で数年いろい...