2014-06-19

廃墟巡りとかしてた時の話 番外編2

「おれの500馬力を試してみたいってまなが言うんだよぉ」

AB先輩、ぼく、かな&あながギャラリーの集まる峠に戻ると、

矢口先輩から着信があった。

やぐち、おまえとはこれっきりだ。

ぼくは矢口先輩が自慢し続けるのを途中でぶちきってやった。

電波・・・」とうそをついて。

かながもう帰りたい、というので

AB先輩はかな&あなを送っていくことになった。

はいえ、地元イオン駐車場までなので、

僕も同乗していくことになった。

やぐちせんぱいのチームのほかの先輩たちも数人集まってきていたが、

やぐちがこねえなら、俺らもちょっと走って帰るよ、

ということになった。

矢口先輩のFD3Sは、他の先輩が乗って帰る手はずになっていたらしい。

やぐちのやろー。

ぼくは他の先輩たちの心の声を心の中で代弁した。

イオン駐車場でAB先輩と、かなあなを見送り、解散した。

翌朝、6時前だったか

矢口先輩から電話が来た。

モーニングコールだ、ばかやろー。」

ちょーご機嫌で、朝からまじでうざかった。

「やっぱ都会の女はエロいなー」と自慢が始まったので、

会話をさえぎり、

すみません、用事はなんですか?」

と僕は強引に聞いた。

「あ、そうそう。かなちゃんがお前に話しがあるから携帯教えてくれっていわれたから教えちゃったぞ。童貞、もらってくれるんじゃねえ?」

うるせえ。

そう思いながらも、ぼくは本当にかなさんに気に入られてセックスできるんじゃないか、童貞捨てられるんじゃないかと妄想し始めた。

「せんぱい、まなさんって大宮なので、都会の女じゃないですよ。」と訂正を入れ、

僕は電話を切った。

その日の夜、かなさんから電話があり、今日これから会えないか?といわれたので二つ返事でイオンで待ち合わせることにした。

イオンで会ったかなさんはとてもエロくみえた。それはきっと僕がエロ意識していたからだろう。

スターバックスに席を取り待っていると、コーヒーとふらぺちーの(ぼくの)をもってかなさんが目の前に座った。

「ごめんね。急に呼び出して。」

さあ、これからラブホですか?

それともカーセックスでもしちゃいますか?

ぼくの妄想は果てしなかった。

「○○くん、昨日あの金庫の中でなにか変わったことなかった?」

「なんすか?やぶからぼうに?」

セックスの可能性が一気に低くなった。

「なんかあったなら教えて欲しいの。教えてくれたら私も正直に話すから。」

僕は金庫の中、貯蔵庫で聞いた女性の声について話した。

場所ちょっと変えましょう。」

かなさんが連れて行ってくれたのはファミレス風の個室居酒屋だった。

ぼくは初めてのことにとまどいながらお酒を注文するかなさんがすごく大人に見えた。

「あの、運転して帰るンじゃ?」

大丈夫、Aが迎えに来てくれることになってるから。」

は?

おまえらつのまにそんな関係になってたの?

まじなんなん?

童貞馬鹿にしすぎやろ。

なんだかむしゃくしゃしていたので、僕はその店で一番高いものを注文した。

「こんなこと信じてもらえるかわからないけど、わたし、見えるの。霊感があるとかそういうのじゃないの。ただ見えるの。いつも見えるわけじゃないけど・・・、こんなこと言っていいのかな。わかる?女の子の日?」

ぼくはうなずいた。


「わたしね、おんなのこの日が近づくと見えるようになるみたいなの。でも普通に生活している時は見えないの。昨日みたいに特別場所にいったときだけなのね。ほら、この辺だと首なしライダーが有名でしょ?わたし見たことあるのよ。すごいスピードで追い抜いていったかと思ったらがけの前で消えたの。その時彼氏が運転してたんだけど、そのままライダー追いかけてたらがけに落ちてたと思う。あれ、やっかりな霊よね。そうそう、あの峠の近くにダムがあるでしょ?昨日も別荘へ行く途中に通ったじゃない。あの時、ダムの水面に子供が立ってたの。ああ今日はマズイな、ってその時は思ったけど、まなとあながどうしても行ってみたいっていうから仕方なくついていったの。いざという時、あなたたちから彼女たちを守れるかもしれないしね。」

「それでね。これは秘密なんだけど、そういう時わたしが明確な意志をもって他人に触れると、その触れられた人にもわたしの霊感みたいなものが移るの。ごめんね。昨日金庫へ入る前、きみを押し出したのはわたしなの。」

そういえばAB先輩に金庫へ入るようにうながされた時、誰かに背中を押されたのを思い出した。あれはかなさんだったのか・・・

「ほんとうにごめんね。わたし、あの別荘に入った瞬間から声が聞こえてたの。AもBも見かけは強そうだけど精神は弱いの。多分、幽霊なんてみたら泣いちゃうくらい。きみはね、まだ子供だから特別なの。ごめんね。バカにしてるわけじゃないの。あの中ではきみしか頼れなかったの。このこと、多分一生きみの心に残ると思う。だから、わたしね、きみの願いをみっつ、なんでもかなえてあげる。」

なんでも?

すぐにセックスのことを想像した僕がいた。

「もちろんなんでもって言っても、わたしにできることよ。エッチなことでも大丈夫よ。」

「じゃあ、一度やらせてください。」

わず口について出たのがこんな言葉だったことを、ぼくは黒歴史としていまでも記憶している。

「いいわよ。」

あっけなくセックスできることになった。


「ただし・・・。わたしの身体を通るってことは、あなたにもその覚悟がないと無理よ。どういう時に出てくる歌かわからないけど、きっと霊感のようなものが身についてしまうかう。」

さすがにその言葉を聞き、ぼくは躊躇した。

「考えさせてください。」

ちなみに、社会人となったいまも、かなさんが約束した三つの願い事、はまだひとつもかなえてもらっていない。

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