2013-12-05

全ての睡眠時間短縮系ツールが詐欺であると言える理由

全ての睡眠時間短縮系ツールが詐欺であると言える理由

総論

これは睡眠に関してだけでなく、現代のほぼ全ての科学技術に対して言えること。

マッド・サイエンティスト天才科学者が、自作研究室に籠もって、誰にも知られずにいつのまにかすごい発見を生み出している」なんてことはファンタジー世界しかない。

アインシュタイン発見だって既存の複数の物理学研究成果をふまえている。ジョブズiphonemacだって既存技術の組み合わせだ。googleはたしかに素晴らしいが、その大部分も既知のアルゴリズムサービスの組み合わせだ。

巨人の肩に乗る」

この言葉なしに現代科学技術はない。

何の土台もないところに突如として城郭は築けない。

から、何か新しい新技術を見聞きして、その妥当性を調べたい時は、その分野に関する論文オンライン検索すればいい。

検索結果がたくさん出てくればそれは「門外漢には目新しいけれど、専門家にとってはある程度予期できる」ということを意味する。

まったく出てこなければ、検索方法が悪いか、ただの妄想か、詐欺か、いずれかだ。念を入れたいなら近くにいる専門家に聞いてみればいい。

というか、その「発明者」がまともな科学者なら、その発見論文にするし、どのような知見が裏支えになってその技術を成立させているか普通、どこかに書く。

睡眠時間短縮法

睡眠時間は7.5時間前後が最も死亡率が低く、これを大幅に上回っても下回っても死亡率が上がる。

特に5時間以下の睡眠は心身を激しく毀損する(精神疾患罹患率を跳ね上げたり、耐糖能異常や高血圧ハイリスクをもたらす)ことが知られている。

これに対して睡眠時間を削減したまま、そのリスクを逃れる方法研究は、今まで一度もなされていない。少なくとも成功例の報告はない。

分割睡眠に関しても、睡眠は1まとまりで多様なフェイズを持っていることから(初期の1~2時間の間に集中的に深睡眠が起き、成長ホルモンなどさまざまな内分泌を行うと同時に、後半にはREM睡眠を多く出し、自律神経を整えたり記憶に何らかの働きかけを行ったりする)、今まで分断睡眠(中途覚醒)は望ましくない、と考えられてきた。

最近になって、2分割くらいなら大丈夫なんじゃないか、と提唱する人が出てきて、おそらくそれに関する何らかの研究が出るだろう。

今はまだその段階。睡眠時間を数時間にするとか、一日の中で細切れにするとか、それで大丈夫とか、そういうことを平然と言ってのける人は何の学問バックグラウンドのないおバカさんか、オカルトだ。

そのデバイスが嘘である理由

今回これを書いたのは、これ http://gigazine.net/news/20131204-neuroon/ についての問い合わせツイートをもらったのが理由。

さて文中リンクから原文 http://www.kickstarter.com/projects/intelclinic/neuroon-worlds-first-sleep-mask-for-polyphasic-sle を見てみよう。

なんか何の裏付けもなければ脚注も参照論文もない"Polyphasic sleep"というトンデモワードが出現する。

そして"Trust the masters"とか書いてナポレオンが出てくる。彼は夜間は3時間くらいしか寝なかった(眠れなかった)ために、しばしば落馬しそうなくらい昼寝をしてしまったのは有名な話だ。少なくともうまくいっている例ではない。

"Science that helps you sleep. (Details)"って書いてあるけど、その中にあるのはどうモニターするか、という説明でしかない。介入する方法は、スマホを鳴らすらしい。

こんなサービスなら既に色んなアプリであるじゃないか!!!

個人的に許せない部分

まず、明らかにカネ目当てだというところ。だいたい著名人インタビュー(しか微妙な人)を宣伝等にする科学研究にまともなものがあった試しがない。

そして個人的に許せないのが、"Oh, and jet lag. Who needs it?"というセグメントだ。

時差ボケがなくなるって? そしたら世界で数億人いる概日リズム睡眠障害患者が泣いて喜ぶね。

自分は十代のころから"Jet lag"が体内で起きてしまうCRSD(概日リズム睡眠障害)を患っていて、それを何とかするために研究医になって日々苦闘している。こんな馬鹿げた詐欺商品に引っかかってしまう同じ疾患の患者が騙される可能性がある。ふざけるな!!!!! という感じだ。

というわけで、もう15万ドルくらい集まっているようですが、まあ、騙されたいアホな人は騙されたらいいんじゃないですかね。

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