2024-11-15

新古典派ミクロ経済学の定式化

1. 消費者理論一般

1.1 選好関係公理アプローチ

選好関係 ≿ に対して以下の公理定義:

1. 完備性: ∀x,y ∈ X, x ≿ y ∨ y ≿ x

2. 推移性: ∀x,y,z ∈ X, (x ≿ y ∧ y ≿ z) ⇒ x ≿ z

3. 連続性: ∀x ∈ X, {y ∈ X | y ≿ x} と {y ∈ X | x ≿ y} は閉集合

定理: 上記公理を満たす選好関係 ≿ に対して、連続効用関数 u: X → ℝ が存在し、∀x,y ∈ X, x ≿ y ⇔ u(x) ≥ u(y)

1.2 需要理論位相アプローチ

ワルラス需要対応 x: ℝ_++^n × ℝ_+ ⇒ ℝ_+^n を以下で定義:

x(p,w) = {x ∈ X | p·x ≤ w ∧ ∀y ∈ X, p·y ≤ w ⇒ x ≿ y}

定理 (需要対応の上半連続性):

選好関係連続かつ局所非飽和であれば、ワルラス需要対応は上半連続

2. 生産理論一般

2.1 生産可能性集合の公理アプローチ

生産可能性集合 Y ⊂ ℝ^n に対する公理:

1. 閉凸性: Y は閉凸集合

2. 可能性: 0 ∈ Y (何も生産しないことは可能)

3. 非reversibility: Y ∩ (-Y) ⊆ {0} (無償生産不可能)

4. 無限の利潤機会の不在: Y ∩ ℝ_+^n = {0}

2.2 生産関数一般

多重生産技術表現する変換関数 T: ℝ_+^m × ℝ_+^n → ℝ を導入:

T(y,x) ≤ 0 ⇔ 投入 x で産出 y が技術的に可能

仮定:

  • T は C^2 級
  • ∇_y T > 0, ∇_x T < 0 (単調性)
  • T は (y,x) に関して凸関数 (収穫逓減の一般化)

3. 一般均衡理論の高度化

3.1 不動点定理によるワルラス均衡の存在証明

定理 (ワルラス均衡の存在):

以下の条件下で、ワルラス均衡が存在する:

1. 各消費者の選好は連続、凸、強単調増加

2. 各企業生産集合は閉凸で原点を含む

3. 経済全体の資源賦存量は有界かつ正

証明の概略:

1. 超過需要関数 z: Δ → ℝ^n を定義 (Δは価格単体)

2. z の連続性を示す

3. Walras' law: p·z(p) = 0 を証明

4. Kakutani の不動点定理適用: ∃p* ∈ Δ s.t. z(p*) ≤ 0

5. p* が均衡価格であることを示す

3.2 コアと競争均衡の関係

定理 (Debreu-Scarf 定理):

レプリカ経済において、コアの配分は競争均衡配分に収束する

4. 不確実性と情報経済

4.1 期待効用理論公理的基礎

von Neumann-Morgenstern 効用関数公理:

1. 完備性

2. 推移性

3. 連続

4. 独立性: ∀L,M,N ∈ L, ∀α ∈ (0,1], L ≿ M ⇔ αL + (1-α)N ≿ αM + (1-α)N

定理: 上記公理を満たす選好関係に対して、期待効用表現 V(L) = ∑_s π_s u(x_s) が存在

4.2 一般化された期待効用理論

Choquet 期待効用:

V(f) = ∫ u(f(s)) dν(s)

ここで、ν は容量測度 (非加法確率測度)

5. ゲーム理論機構設計

5.1 Nash 均衡の一般

定義 (相関均衡):

確率分布 μ ∈ Δ(A) が相関均衡であるとは、∀i, ∀a_i, a'_i ∈ A_i,

∑_{a_{-i}} μ(a_i, a_{-i})[u_i(a_i, a_{-i}) - u_i(a'_i, a_{-i})] ≥ 0

5.2 メカニズムデザイン

定理 (現実定理):

社会選択関数 f が単調性を満たすならば、f は優位戦略実装可能

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