2024-10-26

ハロウィンが近づくと、どうも毎年あの時のことを思い出してしまう。

きっかけは嫁だ。

何を隠そう、俺の嫁と初めて出会ったのは大学ハロウィンパーティーだった。

あの日キャンパスはいつもと違う空気に包まれていた。

普段は真面目な学生たちが、みんな思い思いの仮装で現れててコスプレ大会みたいな様子だった。

俺も例に漏れず、友達と一緒に仮装して参加していたけど、正直あまり気が乗らなかった。

何というか、周りに合わせてとりあえず参加したみたいな、そんな程度の気持ちだった。

だがそんな中、俺の目に飛び込んできたのが、今の嫁だ。

あの時の彼女吸血鬼コスプレをしていて、とにかく美しかった。

真っ黒なドレスが似合っていて、まるで映画の中から出てきたみたいな存在感

肌は透き通るように白く、唇には真紅ルージュが引かれていて、まさに「吸血鬼」という言葉のもの雰囲気をまとっていた。

その瞬間、俺は言葉を失った。

正直、話しかけるのすら怖かった。

だけど、何かに突き動かされるように、気がつくと彼女の方へと足が向かっていたんだ。

そして気づいたら彼女の目の前に立っていた。

彼女は俺の存在気づき、少し首を傾げた。

俺はその視線を受けた瞬間に跪いてしまった。

頭の中では、「おい、何やってんだ俺!」とツッコミが入っていたが、体が勝手に動いてたんだよ。

そこで俺は、全くの勢い任せでこう言っていた。

眷属にしてください…」

彼女は一瞬、驚いたような顔をした。

でも、すぐに目を細め、蠱惑的に微笑んでくれた。

そして「よかろう」と言いながら、俺の首元にそっと唇を寄せたんだ。

その瞬間、俺の体に電気が走ったような感覚

眷属」と言ってもただの冗談だと分かってたはずなのに、何かが変わった気がした。

あの日から俺は彼女の「眷属」になったんだと、今でも思ってる

それからというもの、俺たちはいつも一緒にいるようになった。

彼女は飾らない性格で、吸血鬼コスプレをしていた時の蠱惑的な雰囲気とは全く違う、無邪気で明るい一面を持っていた。

彼女といると毎日が楽しかったし、何より自分が「眷属であることを誇りに感じていた。

彼女が俺の「主」として君臨し、俺はその「眷属」として支えるという関係が、妙にしっくりきてたんだ。

そして今、俺たちは結婚している。

嫁は、相変わらず俺にとって「主」であり、俺は彼女の「眷属」として日々を過ごしている。

家事にしても、ちょっとした買い物にしても、彼女の指示には逆らえない。

いつも「これやっといて」とか「こっちがいいんじゃない?」と言われるたびに、「かしこまりました。」と心の中では返事してしまう。

周りから見れば、ただのラブラブ夫婦かもしれない。

けど俺にとっては、あのハロウィンの日に交わした「契約」が今もずっと生きているんだ。

彼女は俺の「主」で、俺は永遠にその「眷属」。それが俺たちの関係なんだと思ってる。

  • ハロウィンが近づくと、どうしてもあの夜のことを思い出してしまうんだ。静かな秋の夜に、ふと胸の奥にあの日の空気が蘇る。 すべての始まりは、今の嫁との出会いだった。大学の...

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