我が家では2匹猫を飼っている。
明朝になると、先住猫がリビングと廊下を隔てているドアの前で鳴き続ける。
寂しいのかと思い、ベッドに連れてきて一緒に寝ようと試みるも、すぐさまドアの前に戻り鳴き続ける。
昼に満足行くレベルで遊んであげられていないのは一つの理由ではあると思うが、遊ぼうとすると先住猫はあまり気乗りしてくれない。後住猫は狂ったように遊ぶのに。
どこかしらクールな一面があるのかも知れない。先住猫は比較的おとなしいと言われているラグドールという猫種だ。
彼女が成猫になってから、ベッドで一緒に寝たことがない。そもそも昼間から夕方にかけて長時間寝ているので、そもそもその時間は寝ていないのかもしれない。
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ある日、先住猫が体調を崩した。気づいたのは、便が相当緩かったからだ。この季節、猫は特に体調を崩しやすい。先住猫は特にお腹が弱い。
今年もお腹を下したので、診てもらうために動物病院へ連れていった。
先住猫は大の病院嫌いで、診察室に入っただけで唸り声をあげ、誰彼構わず威嚇をする。
病院にはあまり連れて行かないようにしている。そのため、またとない機会だと思い、ふと聞いてみた。
「明朝にかけて鳴き続けるんですよね。本人も辛いだろうしどうにかなりませんか」
先生から「あまりに酷いなら、鎮静剤など処方できますが…」と言われた。
続けて先生が「もう少しマイルドなものとしては、犬猫用のストレスケアサプリがあります」と教えてくれた。
試しに買ってみた。
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サプリをちゅーるに混ぜ、先住猫に食べていただいた。飼い主としては罪悪感が強い。
ストレスの本質的な原因を取り除いてあげられている訳でもなく、その本質的な原因も解明できていない。
それを薬で無理やり解決しようとしているのだ。
私達の睡眠時間が鳴かれることによって日々削られていく上、場合によってはご近所さんにもご迷惑をおかけするかもしれないと考えると断腸の思いで与えるしか無いと判断した。
本人はちゅーるにサプリが混ぜられてるとも知らずに美味しそうに完食する。
その夜から効果が出始めた。ドアの前で鳴かなくなったのだ。私達が寝ている間は起きているであろう彼女は、キャットタワーの最上階で優雅に寝始めた。
また、今まで見せなかった甘える素振りも見せてきた。頭を擦り付けたり、飼い主のそばで寝たりである。
効きすぎていて、逆に怖くなってきた。猫は末期になると唐突に甘える素振りを見せるということをどこかで見たことがある。
猫が亡くなった経験がないため、その素振りが末期のものなのか、それともサプリの影響なのかわからない。
サプリは安全であり耐性はできないと書かれているが、これらの行動は本人の意思なのかと考えると快く首を縦にふれない。
避妊手術も人間のエゴだが、サプリを与えるのも人間のエゴである。人間のエゴに対して罪悪感を覚えるのも人間のエゴである。
本人たちは一部の自由を制限された上で、それと引き換えに定時になればご飯が出てくる。トイレ掃除もしてもらえる。お昼寝の時間も確保されている。