もう二十年も前
やすいパンだけを食べて、甘いものがほしいから砂糖をなめて生活してた。
それで数千円
働いて移動とご飯で消えるくらい少ない
それでも家を追い出されないように手元にある現金を切り崩しながら生活していた。
次の仕事を見つけないといけないし、しかしその時間は生きるために労働力に変えないといけないし、そして働いたとしてもパンと砂糖で暮らすしかない。
計算していけば数カ月先に家賃は払えなくなる。なんとしても延命して仕事を見つけないといけない。
有限の時間を生きるために安売りした。
軽自動車でも数百万する1万円を手に入れるのすら苦しいのに、なぜこんなに乗用車が溢れているんだろう。
なんで僕は買えないんだろう
いや、なんでみんな買えるんだ。車を買う金の一部を僕に回してくれればいいのに…
スーパーに行きパンや砂糖を買っている横で、たくさんのお菓子や肉を買う人を見ても思うようになった。
そもそもこんなに商品が余っているのになんで僕は買えないんだろう。余れば捨てられるのに…そう思えば万引きすら正義のように思えてきた。
僕は早めに家に帰ると電気代がかかるので駅の明るいところで時間を潰していた時だった。さっきいた人が忘れたんだ。酔っ払って一休みでベンチ座って、そして家に帰るために駅から出ようとしていた。
どう見ても財布が入ってそうだ。
数千円でも生活費の足しになる。あいつは余剰のお金を使って酒を飲める身分だ。その分を僕が使っても悪くはない。大丈夫だ。あいつは戻ってこない。僕の持ち物と装って駅を出ればいい…
ずっとそんなことを考えながらちょっと離れたベンチで考えていた。改札から最も遠く、次の電車が来るまで長いので幸い周りに人はいなかった。
でも5分くらい経ってからだろうか、持ち主が戻ってきてカバンを無事回収して帰っていった。
あのとき僕は、惜しかった、もうちょっと早く決断していれば…と思った。
その数ヶ月後仕事は見つけられ、初給与まで一旦金は底をついたが仕事があるということで金も借りれて何とか立ち直せた。
今は、ちゃんとした給与の会社に勤めて、あの頃の念願だったスーパーでお菓子も買えるし、車も買えた。
あのとき僕は盗めなくて惜しいと思ったけど今思えば異常だったなと思うし、盗めなくてよかった。
大昔の「リーダーズダイジェスト」とやらに載ってそうな翻訳調の(苦笑)