寂しかった、緊張をまぎらわしたかった、ストレスを忘れたかった。だから、すすきのに居た時は酒を飲んでいた。
おさけは凄かった。普段は言えないことも、お酒の力で言うこともできた。緊張がやわらいだ。酒を飲むことによってストレスはむしろ増えていたけれど、酒を飲まないというストレスに耐えられなかった。酒を飲まなければ私じゃなかった。酒を飲んでる時のわたしのことを私は好きだった。お酒も好きだった。お酒のつまみも好きだった。お酒を飲むところが好きで、いる人たちも好きだった。だからバーでミルクを頼む気にはなれなかった。
いつも1杯だけと思って、お店を訪ねた。飲み始めるとブラックアウトをするまでのんだ。初めて入った店のトイレで気絶していたこともあった。酷い飲み方に拍車がかかってから、友人が減った。毎日ブラックアウトするまでのんだ。資金繰りに困るようになった。
当時同居していた7年付き合った彼氏と酒が入るとよく喧嘩するようになった。その人も酒が好きな人で、飲んだら暴言とかるい暴力をふるってくるような人だった。いつも彼が何か粗相をした時に、何とかしてたのは私だった。私がそうなってみれば俺が恥ずかしいからやめて俺の世話をしろと言っていた。そのうち帰ってこなくなった。他にも決定的に課題があって別れた。知り合ってすぐの人と見せびらかすように付き合い始めた。弱ったようだったけど、いない時にしか私に関心がないんだな、と思った。その知り合ってスグの人とは割とすぐ別れた。
終盤は休日であれば朝から飲んでいた。それは友人が教えてくれた悪くて楽しい飲み方だった。その友人と一緒に、その友人の休日には朝から晩まで飲んだ。仕事がある日も夜に毎日飲んだ。楽しかった。わたしは仕事をやめていた。何もかもどうでもよかった。いつ死のうかと思っていた。アルコールをやめたかった。
アルコール依存症の初期症状が出始めてから4年、とんでもないような田舎に引っ越して四苦八苦して半年の禁酒に成功した。その4ねんの間に結婚した。最近街にまたこしてきた。大丈夫だと思ったから。少し楽しみだった。夫と少し距離が欲しかった。夫のことは好きだけれど、一緒に居るのはすごく窮屈だった。
そうして、このあいだ夫に隠れて初めて飲みにいった。ブラックアウトはしなかった。バーボンのダブル三杯と水をゆっくりのんだ。私は変われたんだ思った。夫は心配しすぎなのだ。
でも昨日は違った。明細を見ると日本酒3合、バーボンのダブル4杯、ハイボール1杯をハイペースでひとりで飲んでいた。ブラックアウトした。帰宅の時間も定かでない。完全にスリップした。案の定、夫にはバレた。やめる、今後一切行かないと約束した。これは空手形だと思った。後悔してるしやめたいけれど、そんな簡単じゃないことを知っている。お酒が飲めないように工夫をいくつくかするつもりだ。でも、本当は自信が無い。AAに通うのは夫が許してくれないと思う。夫は私か他人とかかわるのを嫌がっている。夫のことも大好きなままでいたい。でも、私どこかで、やめたいと思ってるアルコールのために離婚してしまうような、そんな気がしていて怖い