2022-11-30

4コマ多様性を見出そうとしていたきららが、多様性のなさの象徴になってしまっていた

Q.創刊前に思い描いていたビジョンと、実際に創刊してからきららの姿を比較して感じたことはありますか?

 

A.(まんがタイムきらら系列誌の編集長を務めた小林宏之氏)

これは2010年ごろ特に感じていたことなのですが、「女子高生」があそこまできらら代名詞になるとは想定していませんでした。創刊前の企画書にはむしろSF」や「ファンタジー」という言葉を使っていて、今までのファミリー4コマが描いてこなかった題材を積極的に取り入れていこうという趣旨雑誌だったんです。

 

ただ、最初に『ひだまりスケッチ』がアニメ化し、『けいおん!』、『GA 芸術科アートデザインクラス』と続いていって、きららといえば女子高生4・5人の学園ものという印象が我々の想像以上に強くなってしまった。もっと4コマ多様性を見出そうと思って企画したきららが、いつの間にか多様性のなさの象徴みたいになってしまっていたんですね。どこかで一度その固定観念を壊して、新しいきららの形を作らなければいけないと思い、2011年に「まんがタイムきららラク」を創刊しました。

 

ラクキャッチコピーは「もっと自由に、4コマを。」というものでしたが、きららの原点に立ち返る意味も込められていたんですね。

 

初期のきららって、いい意味おかし作品がたくさんありましたからね。ミラク場合も、4コマや、そもそもマンガを描いた経験がないイラストレーターさんを中心に声をかけ、従来の枠組みにとらわれない4コマを描いてもらいました。日常の中にSF要素が入り込んだ『月曜日の空飛ぶオレンジ。』、女子高生ものだけどアクション要素もある『Good night! Angel』、目覚めない人たちが訪れるファンタジー世界舞台の『夜森の国のソラニ』。あるいは『桜Trick』のように、ガールズラブの方向に振り切ってみたり。片方の足は「笑い」と「魅力的なキャラクター」というきららのコンセプトを踏襲しつつ、もう片方の足をどこまで遠くまで広げて踏ん張れるかに挑戦してみたかったんです。

 

ミイラ取りがミイラに。悲しいね

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