世の中がすっかりコロナモードではなくなってしまったので、当店の来客数とそのピークも完全にコロナ以前に戻った。18時~19時にどっと混んで、あとは21時までぱらぱら来客がある感じ。22時になるとちょっと混む。
良さげなビールが売れなくなった。ワインもあまり売れない。来客数が多いわりには米飯もパンも売れずに沢山残る。世の人々は最近は宅飲みをあまりしないし、夕飯をコンビニ飯で済ませないようだ。最近、さすがにオーナーも色々悟ったのか、米飯とパンの発注を抑えている。
最近、Aさんに妙なことが起こった。深夜によく来るらしい客で、Aさんと同じくらいの年頃(とAさんは言ったが、たぶん実際にはAさんよりずっと若いと思われる)の男性がいるのだけど、その人がいつもよりも早くに来店して、
「いつもお世話になっているので」
と言い、Aさんにコーラを一本くれたそうだ。
お客様が気まぐれに店員に飲み物などをくれることは時々あるのだが、だいたいが男性客から若い女性店員へか、女性客から若い男性店員へのどちらかだ。しかもお客様の方が店員よりもずっと歳上の場合が多い。お客様が同世代で同性の店員に何かくれるなんて事は普通無いと思う。なので、Aさんも、Aさんからその話を聞いた私も、「そんな事ってある???」と若干引いたのだが、まあそんな事あったのは事実……。
その翌日もAさんは仕事だったのだが、また例のコーラをくれた客が来店した。Aさんは物を貰うとコロリとへつらいモードになりがちな性格なので、コーラをくれた客に対して「昨日はコーラをありがとうございました」と律儀に礼を述べた。するとコーラをくれた客は、
「いつもお世話になっているので」
と言い、また前日と同じコーラをAさんに渡した。
それだけなら、ただお礼を言っただけなのに催促したと受け止められてしまったのかな? ってくらいだが、今度は数日後、コーラをくれた客の連れが来店し、
「いつもお世話になっているので」
と言い、Aさんにコーラをくれた。
「いつもお世話になっていると言われても、俺はあの客やその連れとは一言だって会話をしたことがないんですよ」
Aさんはそう言った。
もしかしてこれは、実は彼らがAさんの元同級生なのにAさんがそれにいつまでも気づかないでいるというパターンか、あるいは、ネット上で「コンビニ店員を餌付けしてみた」的なチャレンジが流行っているとかで、Aさんの客への対応が録音され、ているのではないか。
よくわからないけど不気味だ。
コンビニバイトを始めてから丸四年経ち、五年目に突入してしまった。ずっと夕勤しかしていないので、永遠の新人のようになってしまっている。当店の夕勤は、来客数が多い時間帯ながら、レジ接客以外のやるべき事が少なく、従って覚えるべき仕事も少ないのだ。昼勤みたいに多忙な中で色んな仕事をこなしつつ、大勢来るモンスタークレーマーの対応もやっている訳じゃない。私など、もし昼勤にシフトを変えたら、これまで何年この仕事してきたと思ってるの!? 無能なの!?!? とすぐさまクビになってしまいそうだ。
子供達の学年が上がり、下校時刻が遅くなったので、昼間に時間的な余裕が出来た。だから何かもう一つバイトをしてみたいと考え中。
コーラの話、面白いですね!むりくりにオチがないところが良いですー。