ボルダリング。聞いたことはあったけど、それをやってみるなんて思ってもなかった。のに、つい数日前会社の同僚と一緒に、終業後に初めて行ってきた。
きっかけは仕事中にふと「そういえばボルダリング行こうって話、あったよね?」と同僚が放った一言だった。
そう、数か月前になんのけなしに行ってたいよね~いいよね~という話をして、それっきりだったのだ。
俺も今年で23、まだまだ初体験をしていかないと知見が広がらないなと感じていたので、二つ返事で「じゃあ今日いくか?」と。「行こうよ」と。
同僚は前にボルダリングをやった経験はあるらしく、自前のボルダリングシューズを持っていた。
そう、ボルダリングで最初の難関はこのボルダリングシューズなのだ。
ボルダリングでは重心の移動が極めて重要である。そして、その重心の移動とはつま先で行うものらしい。(ここら辺、曖昧。嘘書いてたらすまん。)
なので常に足の指先を固定した状態で無ければならず、そのためにすっごい硬い、サイズのきついシューズを履かなければならなかった。
靴下を履いたままだとキツキツで足が入らず、裸足に衛生面の考慮でビニール袋をかぶせた状態で何とか靴が履けた。だが、痛い。猛烈に痛い。足が締め上げられているようだ。
そして、実際に壁を登る。今回チャレンジしたのは、ボルダリングの中でも比較的優しいルートだった。
ルート、というのは、実はボルダリングの壁は無造作に石がはめ込まれているように見えて、ある特定の石だけを使ってゴールまで目指せるようになっているということだ。
そして、ルートは色別のテープで示され、その色で難易度が違う。俺がチャレンジしたのはピンクで、同色のテープを張られた石を手で掴んで登っていくルートだ。
これがもっと難しくなると、手で掴むのも足をかけるのも同じ色のテープでなければダメ、となったりするわけである。
とにかく、俺は最も易しいルートを目指した。
だが、まずもって身体を引き上げられない。石を掴んだはいいものの、自分を上まで引き上げられない。そのうえ締め付けられた足に体重がかかるとそれだけで悲鳴を上げそうになる。
俺の体重は大体三桁kgを行ったり来たり(最近はダイエットをしているんだが)で、そのウェイトも有るんだろうが全然上まで登れなかった。
ボルダリングジムで、ほかの人に見られながら最簡単のルートの最初の1歩も踏み出せないのはかなり恥ずかしく、俺の心は折れてしまった。
同僚は赤のルート(当然、俺のピンクより難しい)に挑戦し、苦戦しながらゴールまでたどり着いていたのを見ていて、一層つらくなった。
だが、同僚から「せめて何か1個のルートは制覇しようぜ」と檄を飛ばされ、別のピンクルートで再挑戦。
最初に挑戦したピンクルートは傾斜が90度を超えていたが、再挑戦のルートはだいたい80~70度くらいで、これならいけるかもしれない、と石に手をかけた。
ひいひい言いながら登り、足を上げ、歯を食いしばる。
そして、俺は遂になんとかゴールの石を掴んだ。
後で同僚に見せてもらった、俺が登っている途中の写真には、まるで餌を求め崖を登る獣のような俺がいた。