2021-09-14

完全ミルクも楽ではない

育児相談で「ミルクにすれば父親も参加出来て楽なのに母乳育児にこだわるのは何故か」という意見がたまに見られるので、そんなに簡単な話ではないということをいくつか説明します。

コスト

第一金銭面で圧倒的にミルク母乳に比べて割高である。一番コスパのいい大きい缶タイプにしても1000~2000円かかる。液体ミルクや分量の決まったスティックタイプのものもあるが、まだまだ割高であり全部を液体ミルクにするのは現実的ではない。また完全ミルクだと母乳育児に比べて哺乳瓶や洗浄グッズなども多めに用意することになる。

また、母乳は一度止めてしまうとなかなか復活させることができない。出るものはなるべく使った方が体力はともかくコスパは良い。

調乳の手間

母乳は出して咥えさせればおしまいだが、ミルクは「適温のお湯を用意する」「ミルクとお湯を計って哺乳瓶に入れる」「適温まで冷ます」「赤ちゃんミルクをあげる(ゲップ込)」「哺乳瓶を洗浄、消毒する」の手順を毎回しなくてはいけない。基本的に作り置きできないので毎回調乳しなければならず、そこは大きな手間になる。新生児期はこれを平均で1日8回~10回繰り返す。多い子だともっといかもしれない。更に育児積極的でない父親場合、調乳や後片付けはせず作ったミルクを飲ませるだけ(ゲップは「ママじゃないと出ない」など言う)という母親側にストレスが溜まる場合育児あるあるである

赤ちゃんの都合

赤ちゃんによってはミルクを飲まない子もいる。様々な理由があるが、母乳に慣れてしまうと哺乳瓶の乳首を嫌がったり、味が変わって嫌がってしまったり、母親からしミルクをもらいたくないという子もいる。逆に哺乳瓶の乳首に慣れてしまうと母乳を直接飲むことができなくなってしまったりもするので、母乳ミルクかというのは結構デリケートな話である

最後

以上のように完全ミルクでも育児の大変さは変わらない。よく「道端で母乳育児かどうか聞かれるのは無神経だ」という母親あるあるエピソードがあるが、それと同じくらい「完全ミルクにすれば?」というのも無神経だと思う。仕事や体の都合で完全ミルクにするしかできない人もいるし、上記のような理由ミルクにしたくてもできない人もいるし、母乳では足りずに毎回ミルクを足している混合の人もいる。いずれにせよ育児事情もそれぞれ違うし金銭ストレスも相当かかるので「~すればいいだけ」のような言説は控えて欲しいと思う。

なお「公的機関に頼れと言うだけなら簡単だよな」というのもあるけど、ネット憶測アドバイスをもらうよりも目の前で事情を汲み取って解決に導けるプロを頼れる可能性があるならそちらを勧めるのは理にかなっていると思う。特に産後うつ可能性が高いものリアルで見てもらえるに越したことはないと思うのです。

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