2020-09-19

ウェブセミナーに意義を感じられなくてつらい

大学研究者をやってるので、セミナーとか研究会とか学会みたいなものにはこれまでそこそこ頻繁に参加していた。それがCOVID-19ですべてオンラインに移行した。春頃からそうしたオンラインウェブセミナーをいくつも聞いてきたんだけど、最近まったくモチベーションが湧かなくなってきて、可能な限り欠席するか、出席しても音を消して「ながら」で垂れ流しているだけになっている。

いま思い返すと、リアルな場でセミナーを聞いてたときは、移動時間とか、全身で感じる会場の雰囲気とか、つまらない発表を聞きながら手持ち無沙汰になってメモを見返す時間とか、発表者や参加者とのコミュニケーションとかを通じて、なにか新しいアイデアを思いつけそうな感覚があったし、実際にそれが共同研究に発展したこともあった。リアルセミナーは「余剰」にあふれていて、それが参加のモチベーションになっていたなと今にして思う。

ところがオンラインセミナーでは、そういう「余剰」がない。自室でPCを起動させて、送られてきたURLアクセスして発表を聞いたら、それで終わり。そこにあるのは純粋に発表だけ。内職していても誰にもばれないから、発表がすこしでもつまらなかったら、いつでも聞くのをやめて、環境がフルに整った自室での通常仕事に戻れる。そうすると、発表それ自体価値にすごくシビアになる。おまけのついていないグリコキャラメルの味を吟味するようなものだ。論文書籍と違って、セミナーの発表というのは粗削りなもので、それ自体情報価値は実はそこまで高くない。この時間積ん読になっているあの論文を読んだほうが得られる情報量は大きいではないかとか、この発表を聞くために1時間の貴重な仕事時間や週末の家族サービス時間を捧げる価値はあるのか、とか考えるのが必然となってくる。

そういうことが重なって、オンラインセミナーに参加する意義をもはや感じられていない。自分が中心的な話題提供者のひとりになって積極的議論するのなら時間投資する意義はある。しかしそうでなく、単なる一参加者として聞くウェブセミナーでは、情報収集やアイデア思いつきの効率が極端に悪いことがわかってしまったため、もうまともに参加する気はなくなっている。

  • 少し違う話かもしれないが、私は学会の表彰式に呼ばれるはずなのがコロナでオンラインになりました。 賞状とトロフィーが郵送で届きましたがありがたみがありません。 みんなのいる...

  • 義理や義務だけで参加すると意義を見いだせないですよね。合間合間の「雑談」が閃きを得るに重要な役割を果たしていることは普段の研究室の活動でも論をまたないところだと思いま...

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