ジムで働いている者だ。
日々たくさんの会員さんが利用してくれる。
特によく来られる(見かける)方はこちらもできるだけ顔と名前を覚え、主にどんなサービスの利用が多いのか相手の情報の把握に努めるし、意識しなくともそのような方は自然と顔や名前を覚えていくものだ。
利用者動向を知るという業務上の必要性もあるため、そんな人間観察はもはや業務の1つというか、職業病のようなものである。
さて、その中でもさらに際立って「気にかかる人」というのが何人かいる。
入会後数年になるある方は、いつも1人で約2時間ものトレーニングを黙々とこなし帰っていく。
どこかで習っているのか、あるいは流行(?)のYouTubeチャンネルの愛好家なのか、トレーニングのバリエーションも豊富だ。
私たちどちらかというと教える側になる人間でも驚くくらい、様々なトレーニングを行っている様子が見てとれる。
当時は「体重を落としたい」という定番の目的に向かってトレーニングを重ねていたところで、1年あまりで10kg以上の減量に成功し、なおかつその状態をキープし続けており、本当に心から「着実に成果出ていて努力の賜物です、すばらしいですね」と思い声をかけたのを今も覚えている。
そして今、コロナ禍はあるもののその方は変わらず利用してくれている。
今ではトレーニングの頻度も強度もさらに上がっているように見受けられる。
コロナ禍で少し太って取り戻そうとしているのか。
失恋して吹っ切るためにがむしゃらに体を動かしているのか。
反対に新しい恋人ができ、その人のためにボディメイクに励んでいるのか。
はたまたセフレでもいて性的満足を得るために筋トレに精を出し体を作っているのか。
これだけ1つのことを続けられるあたり、実はADHDとかだったりして。
本当に暇だから来てるだけ、とかね。
もちろん直接聞くことはなく、あくまで私の想像や妄想、邪推にすぎないが、そんな様々な思いとともに利用している方々を観察するのは案外楽しい。