『著作権侵害物写り込む「スクショ」はOK 文化庁が転換:朝日新聞デジタル』という記事に関するトップコメに
>画面に表示された時点でダウンロードが成立しているって言う根本の認識が無いので、いつまで経ってもピンぼけた制度にしかならない
というのがあった(https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.asahi.com/articles/ASMCV6HZBMCVUCLV013.html)。
ダウンロード違法化の話が出るたびにこの手の誤解が散見されるので、ここらでそれを正しておきたい。
なお、筆者は法律は独学なので、細かいところで間違っているかもですが、その場合は誰かフォローをお願いします>丸投げ。
まず基本的な理解として、法律では「何をしたか?」だけでなく「どういう動機でやったか?」(=容疑者の心理状態)が問われる。
分かりやすい例は人を殺した場合だろう。「やつを殺す!」という動機(殺意)があれば殺人罪に問われるが、そうでなければ過失致死などになる。
もちろん、殺意があったかどうか=容疑者の心の中は当人以外は確かめようがないので、裁判において様々な外的証拠(例:「殺してやる」と常々発言していた)から殺意の有無を推察して刑が確定する。
これを踏まえた上で、さっきのトップコメの何が間違っているかというと、技術的にはウェブページの閲覧とダウンロードはたしかに(あまり)差がない。
しかし容疑者の心のなかでは単なる閲覧とダウンロードは全く異なった行為である。
したがってダウンロード違法化で罪に問われるのは、「ダウンロードしよう!」という意思を持ってデータを自分のPCに落とした場合のみである。
繰り返しになるが、意思の有無は容疑者当人しか確認できないので、裁判で外的証拠から意思の有無の推察が行われる。
例えば閲覧時にダウンロードボタンを押せば、ダウンロードの意思ありと判断される可能性が高まるし、ブラウザのキャッシュから「保存用」という名前のフォルダに画像を移せば、それもダウンロードの意思ありと判断される可能性が高まる。
このようにダウンロード違法化で罰せられるのは、ダウンロードする「意思」とその意志があった事を示す「証拠」があった場合だけである。単にウェブページを閲覧しただけでは、「意思」の「証拠」を確認できないので、罰せられることはない。