2019-06-18

外国人参政権反対には反対しません

選挙の時期が近づくといつも思い出すはなし。

休日に出かけた先で、候補者の人が車の上で演説中だった。

あたりには人だかりができていて、その周りで支援者さんたちが一生懸命にビラ配りをしていた。

盛り上がっている雰囲気を作りたいのか、それとも自分たち正義を信じてやまないのか、目を輝かせながら元気あふれる声を響かせていた。

夫婦ベビーカー連れだったことともあって少し目立ったのか、もしくはそういったターゲットとして(政治を真面目に考え始める層の一つとして)目についたのか、遠巻きに通り過ぎようとする自分たちを見つけた支援者が近づいてきた。

外国人参政権に反対しましょう!」

表情も口調も、ビラを差し出す手にも迷いはなかった。

一瞬躊躇するも、さらにぐいと押し出された手に負けてビラを受け取る。

そこには選挙カーの上で演説する候補者写真と、その横に強い調子で書かれた「外国人参政権断固反対」の文字

「是非より良い世の中のために〇〇さんに投票をお願いします!」

支援者がつづけて語りかけてくる。

その言葉がひっかかり、胸にしまっていた言葉が口をつく。

「すいません。僕投票権ありませんので。」

「え?」と驚く支援者

外国人なので、参政権がないんです。」

妻も自分在日三世外国人だ。もちろん子供国籍日本ではない。

「あら、それはごめんなさいね。」そういうと支援者はそそくさと離れていってしまった。

その姿をみて、実に残念だなと思った。なぜもう少し話を聞いてくれなかったのだろう。

自分自身も外国人参政権については反対だ。

自分在留資格特別永住だが、それで選挙権がなければおかしいと思ったことは一度もない。

選挙権も被選挙権も、帰化してから手に入れれば良いだけだからだ。

極端に虐げれていた時代ならまだしも、政治に口出しをしなくても多少の差別に目をつむっていれば生きる権利は十分に守られている。

納得がいかなければ国を出ていけばよいだけの話だ。

からこそ支援者の方の対応は残念でならなかった。

外国人なら参政権反対に反対されるに決まっていると頭ごなしに決めつけられていたからだ。

日本には永住権をもった外国人が沢山住んでいる。

その中には、自分と同じように見た目では判断がつかない人間も多いだろう。

そんな日常にすら目を背けて、自分たち正義を疑うことなく声高に叫ぶことの危うさよ。

外国人なのだからこの話を快く思うわけがないと、そう思って何もされていないのに謝られる気持ちがわかってもらえるだろうか。

何も激昂して掴みかかるわけでもない。

そこまで強い思いを押し付けてきたなら、こちらの考えにも耳を傾けてほしかっただけなのに。

残念ながらこれが人種差別だ。

被害の有無ではない。しかし、確かに今、自分外国人として、選挙権を持たない人間として差別を受けた。

これが差別だと理解できないようでは、人種差別問題解決はまだまだ遠いのだろう。

  • 相手が忙しいってことを分からないのかね? 投票権もない奴の自分語りをその支援者は長々と聞かなきゃならんのか? 思い上がりも大概にせよ

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