興味深かったけど、色々疑わしい話が多い、というのが個人的な感想。
AI関連の現状に関しては面白かった。統計データが想像よりずっと無力な話とか、そこそこの正答率を叩き出すアルゴリズムが結構な裏技を使っている話とか。
問題なのは後半、教育の部分。オリジナルで作成した読解力テスト、リーディング・スキル・テストの正答率を分析するパート。
大学生の正答率が悪い。高校生、中学生の正答率が著しく悪い。確かに問題だ。でもこれ、そこらの大人に出しても多分正答率変わんないよ。あと、中学生とかだいたいバカだよ。「年代別同条件での比較データ」なんてものはない(あるわけない)のに、なぜ今の教育が悪いと決めつけるのか。この程度のクイズが解けないのは確かに問題あるけど、わざわざ「子どもたち」って強調して今の若者が、今の教育が、って対立構造を煽る形が気に食わないですね。我々はだいたいバカだという事実からして向き合う必要がある。
度々出てくるリーディング・スキル・テストの効果性についても疑わしい。これただの論理学の問題でしょ。論理力は絶対必要だし点数は一つの指標にはなると思うけど、これで”教科書を読む力”を判定しきれるかというと怪しい。教科書を読む力として大事なのは、概念を理解することだと思います。あと、このテストを真面目に導入しても"受験の問題しか解けない子"が"RSTしか解けない子"になるだけでは。小学校の国語の授業とかやってること高度すぎると思うので、少しはこういう授業に割いてもいいかもなとは思った。
この本が問題提起していること自体には意味あると思うけど、1から10まで信じすぎもよくないと思いました。読み物としては面白いよ。