はじめは足がすくんだが、ジントニックを飲み交わしたらすっかり溶け込んでいた。
気がつけばまこっちの推薦により参謀的ポジションになっていた。
この河川敷はちょうど複数の警察の盲点になっており、一時的な拠点として優秀なのだ。
などなど。
俺=ゆりちゃんらは、吉田さん率いる車にのって強盗を繰り広げる。
金は天下の回り者、その言葉を愚直に実行しただけだ。
全員覚悟を決める。
今日は死ぬにうってつけの日、そう信じようと思えば信じられる天候だ。
銃口がもこっちに向けられる。
初めて気がつく。
俺=ゆりちゃんはもこっちを一度たりとも抱きしめたことがなかったと。
ああそうか、私は、もこっちのことが・・・。
そんな甘美な映像が流れる間もなく、腹の底を冷たい空気が包む。
撃たれた。
何回も夢に見た感触。
だからよく分かる。
あれだけ車内でイキってた吉田さんが、真っ先に逃げるんだからさ。
おいお前、逃げるのか?なんつってね・・・
ざっとこんなところか?
って構図を打ち出したところが
俺なりの新しさだな。
これはなかなかいい線をいっていると思う。