ちょっと長い話になる。
少し前になるが、冬コミのことだ。
コミケにサークル参加するのは2回目だった。二次創作で、成人向けの漫画を出した。
コミケは2回目だが、オンリーや地方のイベントには出ていたので、全体として本を出すのは15冊目くらいになる。
それまでのイベントでだんだん売れるようになっていたから、調子に乗っていたのかもしれない。
余計な議論が起きそうなので具体的な数字は出さないが、持ち込んだ部数の3分の1もはけなかった。
それまで尻上がりだっただけに、余計に凹んだ。
それもあって、冬コミ前はとても緊張していた。
売るために参加しているわけではないが、自分の本が誰にも求められてないのでは、という不安にかられた。
絵で少し仕事もはじめていた時期だったので、胃を痛くしながら当日を迎えた。
結果として、完売こそしなかったものの、ノルマとして設定していた値より多く頒布することができた。
売り上げでおいしいお肉も食べに行けたし、手伝ってくれた友人にもごちそうできた。
問題はそのあとだった。
Twitterで、知り合いの作家の完売報告の嵐を見て、モヤモヤした気持ちが生まれてしまった。
午前中に完売しているサークルが多く、タイムラインはうれしい悲鳴で満ちていた。
その時つい、「悔しい」と、そう思ってしまったのだ。
俺も過去に予想外の人気が出て完売したことがあったが、その時は後から買いに来てくれた人に対してとても申し訳無く思ったものだ。
その点今回は、赤字にはならなかったし、喜んで来てくれた人もたくさんいた、欲しい人にも行き渡っただろう。
そもそも「完売」とひとくちにいっても、部数にもよるし、流行や知名度など要因は様々だ。
何も悔しがることはないはずだった。
だけど何か、「完売することが成功の指標」でありステータスかのように、その時は感じてしまった。
何より悔しいのはそのことだった。
自分の目標も達成して、なんの問題もないのに、結果を喜べなかった。
そんな自分にげんなりもした。
特に最近はSNSですぐ他人の成功が目に見えるので、こういうことはままあると思う。