そのため、普通の人が考える「プラスマイナス0の状態」からの節約談義は実現できない。自転車操業だ。
また、貧困者は我慢ができない。我慢が効かないというわけではない。人並み以上の我慢はしている。金がないから当たり前だ。
しかし貧困者は将来の見通しが立たないことが多く、我慢をすることで得られる対価をイメージできない。
ダイエット中、一ヶ月間で体重が減らない人間が食欲を抑えられるわけがなく、貧困というのは、年単位でその状態が続く。
3つめに、社会には「普通を外れないように」「維持すればお得」というベクトルの効力はあるが、普通を外れた人間にはほぼ意味のない継続負担を強いるものが多い。
これらは大抵の場合支払うことができず、負債となって貧困者にのしかかる。
そのため貧困者は上記の状態に陥り、どんどんリカバリーが難しくなる。
催促も頻繁に起こるようになり、インターホンや葉書、封筒が恐ろしくなる。
ストレスに耐えられなくなり、思考を停止してしまう。これが鈍する理由になる。
これらの要因が重なり、金銭的にも心身にも余裕が無いため
普通の人間が普通に判断する改善方法を教えられても実行することができない。
つまり、まとめて買った食材の代金を日割りしてカップラーメンと同等の値段ならもっとマシなものが食べられるなどと諭しても
まとめて買う金も用意できなきゃ食材ロスをゼロにすることもできないため実行できないのだ。
ちなみに私の例を挙げると、月9万円の収入で賃貸の最低限の生活を維持し、50万円の借金と数年分の保険料と税金の滞納(税金は強制徴収があるので半年に一度くらい精算されるが、その分借金がふえる)
というのを5年ほど続けた。