「運転資金ですか。では土地を担保に…、すでに担保となっておりますね。では、まことにお気の毒ですが、お引き取りください。」
「困ったな。ちょっと上と相談しますので、3日後の同じ時間にきてください。」
「わかりました。」
「これ以上、不良債権を増やすわけにもいかないので、アクションプランを作らせて、利息分を稼がせろ」
「わかりました。そのような条件を付けます」
3日後
「では、1週間後までに融資額の15%に相当する利益を出すアクションプランを提出してください。」
「アクションプランです。本来ならば、機械設備の導入で利益が出るなどの見込みに対して融資するわけですが、何の見込みもないのにこれ以上の融資はできません。」
「なんとか考えてきます」(困ったなぁ)
1週間後
「上の者と精査させていただきます。3日後に来てください。」
「疑わしいですね」
「こことここを修正して、売り上げ目標を高くさせろ。それを条件に融資にgoサインだ」
「わかりました」
3日後
「では、プランのこことここを修正して、売り上げ目標を5000万円上積みしてください。それが今回のご融資の条件です。」
「え、わかりました。お願いいたします。」(背に腹はかえられんし、さらに困ったなぁ)
1週間後の朝礼
「みなさん、苦しいときですが、全社一丸となって乗り切りましょう。今期は売上の達成が非常に厳しいです。ボーナスの支給はなしです。しかし、売り上げ目標は5000万円増やします。がんばってください。」
従業員の心の声
(何を言うとんじゃ、ぼけ)
(ボーナスカットで、もっと働けとか、ヤキがまわったんとちゃうか)
3か月後
「社長なんとか仕事を取ってきました。売り上げ目標には達しませんが、3000万円分は確保しました」
6か月後
「工場の稼働が始まりました。増えた仕事の分で仕事が回りません。納期がピンチです」
「人はいないのか」
「社長が作った退職者向けの延長雇用会社「ふれあい」に反発した若者が辞めてしまって、サービス残業させられる社員がいません。派遣社員として退職者がそのまま同じ職場に残ってしまって、若者が仕事しにくい環境でしたし。」
「750円の時給では、土日はきたくないそうです」
「なんだと」
つづく