自宅から通える範囲に私立の高校もいくつかあったけど、受験の選択肢は公立の高校のみであった。
仲の良いオタク友達がコピックのセットを買ってもらいそれでイラストの色塗りしていた傍ら、自分はその辺で売ってる色鉛筆で塗っていた。
たまに贅沢するといえば学校帰りに近所のイオンのフードコートで500円くらいのマックのセットを食べること。
あと実家には当時クーラーはなく、扇風機も居間に一台と父親専用の小さなのが一台あるだけだった。
当然PCもなかった。まあこれはまだ当時一般家庭にそこまで普及してなかっただけだけど。
父親が身体を壊し長時間働けなくなり、手に職を持っていた母親が共働きに出て家計を支えていた。
今騒がれている彼女よりもずっと質素な高校時代を自分は送ってきたわけだが、それでも自分が貧困層だっだと思わない理由がある。
うちは裕福ではない、ただそれだけのことだ。
裕福じゃない層をすべて貧困扱いするのは乱暴すぎる。
月に何度も映画を見に行ったり、1000円を超えるランチを食べに行ったり、何万もする画材を買ったり、アニメグッズを爆買いしたり。
そういうのは裕福な人がやること。
日本は豊かな国であることは確かだけど、そんな風に娯楽に湯水のように金を使うことが当たり前だとは思わない。