「官邸前で後藤さんを救う為に声を上げる」というタイムラインが流れてて、あいにく同じ時間には家の都合で東京の真逆に行くはずだったのでさほど情報の信憑性とか誰が主催しているのとか気に留めていなかった。急遽予定がキャンセルになって、どこかで飯を食って帰ろうかどうか考えているうちに集会のことを思い出して永田町へ向かった。
僕は漠然とイスラム国に対してテロを止めようと呼びかけたり、日本はイスラムの敵では無いとか、表現の自由とかそういうことを訴える集会なんだと思っていた。今から考えれば官邸前でやろうっていう時点でおかしい話ではあるけれど、永田町でやればマスコミにも取り上げられやすいとかそういう動機なのかなと。そんな集会をしてどうなるわけじゃないにせよ、とにかく行ってみようと思い職場から20分かけて官邸前へ。
300mほど離れていても、ある種の政治信条を持った集団だとすぐにわかる安直でテンプレート化された身なり・プラカード・シュプレヒコール。ああそういうことか、と僕はつぶやいてしまった。あまり右とか左などと安易にカテゴライズする風潮は好きではないけれど、まあ左翼な人達です。
100mほど近づいて「脱原発」の文字がうっすら見えた。よくわからない。何の関係があるのか。そういうえば後藤さんのお母さんも会見で原発のことをおっしゃっていた。僕が知らないだけで実は原発がこのテロ事件の鍵を握っているのだろうか。
はっきりと人の顔が認識できるぐらい近づくと安倍総理がちょびヒゲを生やしているプラカードを持っている人がいた。そうか、安倍総理がヒトラーのように独裁を日本国民に強いているからテロが起きたのか。とても勉強になる。僕が思っているより世界は複雑だ。
「何のための増税だ!こういう時のための増税だろう!」という声が聞こえる。そうだったのか。あれは社会保障費などに本当は使われないのだ。これから増えるテロの身代金のためにストックするための増税だったのか。
「アベはオバマと共に退陣せよ!」と叫ぶおばちゃん。とばっちりではない。彼ら二人がテロを招いたのだ。
「何のための沖縄の海兵隊だ!何にも役に立っていない!基地を返還しろ!」そうなのだ。沖縄にあれだけ海兵隊がいてもテロは防げなかった。もう沖縄に基地は必要無いのだ。
「ノー、アベ!イエス、ゴトウ!」よくわからないけど、そうなのだ。ノーアベ、イエスゴトウだ。さあ皆も口ずさもう。ノーアベ、イエスゴトウ。「i'll be back」と書かれたプラカードが僕の目の前でゆらゆらと揺れている。誰かがイマジンを歌い出した。最初はみんな怒っていたけれど、いつの間にか泣いている人や笑っている人ばかりになってきた。怒号は消えてイマジンだ。ノーアベ、イエスゴトウだ。
ぱっと見なんの関係も無さそうなことが、実は裏でつながっているのだ。世界は僕らが思っているより遥かに複雑なんだ。
来週もあるらしいので皆集まろう。