2011-04-14

地震の予知と精度

http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041301001002.html

地震予知、即刻中止を」 東大教授、英誌に掲載

 「(常に)日本全土が地震危険にさらされており、特定の地域リスクを評価できない」とし、国民政府に「想定外」に備えるよう求めた。

 「今こそ(政府は)地震を予知できないことを国民に率直に伝えるとき」とも提言しており、世界的な学術誌への掲載は地震多発国・日本の予知政策に影響を与える可能性もある。

 論文では、予知の根拠とされる地震の前兆現象について「近代的な測定技術では見つかっていない」と指摘し、「国内で1979年以降10人以上の死者が出た地震は、予知では確率が低いとされていた地域で発生」と分析。マグニチュードクラス東海・東南海南海地震を想定した地震予知は、方法論に欠陥がある

つまり、



ただし、東北新幹線は事前の微細動の検知のおかげで脱線せずに済んだのである。注意すべきは

  1. 本震とプレスリップの違いを見極める技術確立していないということ。
  2. 天気予報のような統計に基づいた予測はできないこともないが、数千年という有史ではその予測下駄飛ばしと同列だということ。
  3. これから技術発展によってはそうとは限らないということ。

である

1:に関してはご存じの方も多いと思う。今の科学では、比較的大きな地震が来たら「これはプレスリップかもしれないから、次にもっと大きな地震が来ることもありえるので注意してね」というぐらいの周知と備えへの啓蒙しかできないのだ。これまでは経験的に「こんなでっかい地震来たら次はしばらくこないやろ~」という人が多かったと思う。しかし、そんなものは思い込みでしかないことが、今回でおわかりいただけたかと。

2:に関してもそう。統計的に地震予測するにしても、圧倒的にコーパスが足りない。1000年に1度の規模の地震が起こったとして、それがほんとうに1000年に1度の頻度であるかというのは、また話が違うのだ。

これは先の経験的な件と重なるが、一度の巨大地震が歪みをリセットゼロになる)するわけではない。「1000年に1度の地震が起こったのだから、次は1000年後までないに決まってる」わけがないのだ。そもそもその「1000年に1度」を疑う必要があるということ。

3:に関しても同じ。私たちが生きている間にその技術確立することはないだろうが、「その研究無駄から仕分けしましょう」などとは話が違う。


また、これを「緊急地震速報無駄」だと話をすり替えられても困る。緊急地震速報はP波である可能性が高いものを検知して、速報している。実際今回の本震においても速報は機能した。ただ、今の技術では「それがどの程度の規模の地震か」という予測まではできない。できるのは「地震が来るか来ないか」であり、「これから宮城県沖でM9.0の地震が来ます」ではない。地震が来ることがわかるならそれに越したことはないのだ。「あの音が嫌だからやめろ」なら音を作った人の努力も浮かばれるというもの。

とにかく、今の地震観測技術は、岩だけの離島に鳥の糞で植物のタネが落とされた程度だし、それをひとつ植物に育て上げるにはこれまた長い年月が必要だということ。

今使いものにならないからイラネ、という態度だけはやめていただきたいし、この教授もそういう意味で言っているわけではないということを理解してほしい

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