2024-04-09

X(旧Twitter)が現実侵食しすぎていない時代

実兄が明らかに発達障害ADHDASD)でコミュニケーションが苦手だった。目線が合わず、常にきょろきょろと泳いでいて、自己主張を不得意とした。少しでも話してみれば分かるのだが、なに、この人?と気持ち悪さを抱くに違いない。実兄は自分気持ち言語化が極端に下手だった。

代わりに勉強はできるので、それなりに良い高校、良い大学に進んだ。だが就活は苦戦した。苦戦し、敗北した。

書類選考は通過するが、面接で落ち続けた。内定先が決まらないまま卒業した。アルバイトはしていなかった。実兄は完全な無職になった。

これは憶測になるが、実兄はけっして努力を怠ったわけではないと思う。根は真面目だから、やるべきことをすべて行った。その信用はつよくある。

つの日か高速バスに乗って、わざわざ遠くの会社まで面接を受けに行った。勿論そこの会社もお祈りされたのだから交通費のことを考えるとある種の同情を抱いてしまう。

就活は失敗し、アルバイトもしていない実兄に、親はすっかり呆れていた。

困った息子、というよりは、ゴミ息子のように、完全に見捨てた存在になった。出来ない子だと、あいつはそうだから仕方がないのだと、そういう烙印を押しつけていた。

からすると、就活から実兄に叱責を繰り返していた親にも原因はあると感じていた。

お前が面接で落ちるのはハッキリ喋らないとか、目線がきょろきょろしているとか、社会ではそんなではやっていけないぞと、高卒就活したことがない親がぐちぐち、ぐちぐちと繰り返し、夕飯時は怒鳴り声を聞く時間だった。

その光景毎日眺めていた私にトラウマはしっかりと残っているのだから、実兄の中に蓄積したトラウマは比べものにもならないだろう。

お前のせいでご飯が不味いよ、は親の決まり文句だった。そのご飯を作ったのは私だから、不味いならとっとと捨ててほしかった。

(ちなみに実兄の大学卒業後、それまで正社員固執していた親がアルバイトでもいいと笑顔鞍替えしたので、実兄と私は親に対する信用を失った)

(実兄はなんとかアルバイトが決まったが、仕事内容は聞いていない)

現在だったらメンタルクリニックに通わせて検査をし、発達障害者を支援する団体繋ぎ雇用サポートに繋ぐこともできたのだろう。

実兄は明らかに発達障害なのだから、本人が望みたいとき検査をすべきであり、そのタイミング就活ときだったのだろうかと考える。

そういう知識を得られたのはX(旧Twitter)だった。

ガラケーが主流の時代。主な情報テレビしか入らない時代

もしスマートフォンの普及がもう少し早かったら、

もしテレビ発達障害積極的に取り上げていたら、

もし親が発達障害を知り、彼らを支援するサポートにたどり着けていたら

もし実兄が、

……といろいろな可能性を考えてしまうが、結局はたらればだ。何も変えられない。

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