2023-01-09

親になれるかもしれない

最近娘ができた。

不妊治療を経てやっとの思い出できた娘だ。

多分世の中の男性はそれなりに共感するかもしれんが、

自分は何がなんでも子供が欲しいわけじゃなかった。

ただ、子供ができないことを悩む妻を見て、治療を受けることを決断しただけである

子供はどうでもいいが、妻の悩む姿は見たくなかっただけなのだ

子供が欲しく無い理由にはもう一つあって

自分がいい父親になれる気がしなかったのだ。

自分父親は転勤が多く、仕事も忙しく、性格的にも多弁ではなかったので、社会人に上るまでほとんど喋ったことがない。

昭和父親にはありがちな子供のことは母親に全て任せるタイプだった。

20年以上の会話は、まとめてもどこぞの短編小説一編分にも満たないであろう。

社会人になった後に会話量は増えたが、残念ながら、そこまで変化はない。

沈黙も「...」で入れるならそこそこの長編小説の長さになるが。

そう言うわけで、子供との距離感覚が掴めない親からまれ自分が、

まともに子供の育てられる気がしなかったのである

親と子のコミュニケーションが取れない、そんな家を作りたいとは思わなかった。

それなら妻と二人の方が幸せだと。

それもあってか「家族もの」と言われる親子関係を描いた小説、歌、映画にはほとんどはまれず、縁がなかった。

泣いている人を見て、「偽善者が」「注目を集めたいの?」とすぐに思ってしまう捻くれ者であった。

皮肉屋と言われるイギリス人もびっくりなレベル冷血である

よく言われるのだが、感動のポイントはその人の人生経験によるのだ。

犬を飼っていなかった人に、ペット死ぬ動画を見せても理解されない。

家族という物語がわかっていない人に、家族ものをみせても理解できないのだ。

そういうわけでやっとできた娘に関しても

「うるせぇなぁ」

「なんか猿みたい」

と思いながらも、そこは40年生きてきた社会スキルでなんどか表に出さず、世話をしていた。

なにより不妊で苦しんでいた妻が嬉しそうにしているのが本当に嬉しかった。

娘が7ヶ月になるころ、

いつものようにリビングおすすめ音楽を鳴らしていると

福山雅治の「家族になろうよ」が流れてきた。

娘は自分が歌うとご機嫌が良くなるので、自分一人の時はよく歌いながらあやしている。泣くと本当にめんどくさい。

ただ、童謡を歌っても自分面白くないので、自分趣味の曲をいくつか歌って、娘の好きな傾向を調べている。

最近で言うとKing-gnuは大好きなのだが、井口くんの技量が高すぎて自分には歌えない。

福山雅治は音域が狭いせいか音痴自分でも歌いやすく、好きな曲も多い。

気に入ってくれたら今後楽だなーと思い、歌詞を画面に表示させながら歌ってみた

先ほども書いた通り、自分家族もの嫌いなので、この歌をよく知らなかったのだ。





歌詞を追う目から、涙が止まらなくて歌えない。

自分でも何が何だかからなかった。

最愛の妻を持っても、子供を作ることを望んでなかった自分が。

娘ができても、家族物語全然信じていないと思った自分が。

知らぬ間に少しずつ少しずつ、自分家族という物語共感できてきたのだ。

同時に自分の両親への感謝が初めて生まれた。

この年齢になっても自分が変化すると思ってなかった。

「いつも自分のことばかり精一杯で

親孝行なんて出来てないけど

明日わたし

それほど変われないとしても

一歩ずつ 与えられる人から

与える人へかわってゆけたなら」


少しだけ、親になれる気がしてきた。

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