好きな娘がいる。
その娘とは同い年で、知り合ったきっかけはTwitterだった。
初めて知り合った時はTwitter黎明期だった。最初はなんてことない、ただのフォロワー同士だった。
お互い意識なんてしない、ちょっと話が噛み合ったらリプライを数回やりとりする程度の繋がりしか持っていなかった。
その娘とは趣味が合う。
自分もその娘もコスプレが趣味だった。音楽の趣味も、同じバンドが好きだった。
昨今コスプレ好きなんてごまんといるけど、当時マイナーだったバンドまで好きだったのに驚いた記憶がある。どちらかが相手の趣味に合わせわけじゃなく、ただの偶然だった。
この時、特別恋愛感情はなくて、気が合うフォロワー程度だった。
数年前、就職のために自分は北海道から都内へと上京した。その娘も都内のはずれに住んでした。
急に、会える距離まで近づいてしまった。
けど、急に直接顔を合わせて会話ができる距離まで来た。
実際にその娘と会った。
一緒にバンドのライブに行ったり、プリクラ撮ったり、ご飯食べたりと何度か遊んだりした。
行儀もよく言葉尻も柔らかく、育ちのいい子だと思った。となりを歩いていても恥ずかしいなんてことはまるでなかった。
結論としては自分がヘタレなだけだったけど、言い訳をするならば、その娘の気持ちがわからなかったからだ。
どうして自分なんかとご飯を食べてくれるんだ?
そんなことをずっと考えてしまっていた。
「そこまで一緒にしてくれるなら、その娘も君のこと好きなんじゃないの?」
何人か友達にそう言われた。確かにそうかもしれない。
だけど、これまでTwitterでしかやりとりをしてこなかった人間同士が、じゃあ会って飯食って告白して・・・それで相手がOKしてくれても、なんだかしっくりこない。
自分の中で、恋心ってのはインターネット上では膨らませるべきものではないと思っている節があるからだろう。
相手の顔も直接見ず、声も聞かず、触れもせず。
それなのに、相手の上辺だけの情報のみしか知らないのに好きになる、っていう事が自分では出来ない。
今の時代、ニコ生やSkypeなど相手よりリアルなコミュニケーションを取れる手段は増えた。
だけど、やっぱりお互い好きになるには、「インターネットでの知り合い」ではなく直接遊んだりする「友達」になってからスタートを切りたかった。
インターネット上で好きになりたくはなかった。
そんな事を考えているうちに、あの娘はどんどん魅力的になっていった。
コスプレで言えば、出来栄えの良いコスプレをし、知り合いも増えイベントなんかにも行く回数が増えているようだった。
それに伴ってTwitterのフォロワー数も増えていっていた。
気づけば、彼女の中で自分は「フォロワーの1人」でしかなくなっていた。
あの娘は、自分なんかより仲の良いフォロワーと会話していて、自分はタイムラインでそれを流し見するだけ。
すっごい悔しいけど、それを邪魔しちゃいけないことは自分でわかってる。
いわゆる空リプなんてものも送らず、ただただ仲良しそうだなあ、って感情で押さえつけてる。
こちらからリプライを送ることはあっても、あちらから自主的に来ることはめっきり少なくなった。
LINEのIDも知っていたが、こっちはTwitter異常にレスポンスが悪かった。
何度も同じようなことを友達に言われたが、「好きでもない男にアピールされたら余計嫌われるんじゃ・・・」って心情がこれを邪魔した。
まだ好きなくせに、どうせ自分なんかじゃ、って半分諦めてる。
どうしたらあの娘に振り向いてもらえるだろう、って何回も考える。
でもだめだ、彼女は一途に趣味のスキルを上げていっているけど、自分は結構な雑食であれやこれやとやりたいことがあって一つのものになかなか集中できない。
じゃぁ、そこまで好きなんかじゃないんじゃない?
どうだろう。
ひとつ言えるのは、今までの人生の中で最高に人を好きになっている。
その娘のことはすっごい好き。
だけど、なんだかもう振り向いてはくれない感じ。
多分、直接遊んだ時に男をみせられなかったのかなって思ってる。
前に遊びにさそったけど、何かと理由をつけて断られてしまうのでもうだめだと思っている、
まだ全然諦めきれてないけれど、この年が終わったらこの想いがぷっつりと切れてしまいそうで怖い。
だけど、彼氏なんかできちゃったら気が気じゃなくなってしまうかもしれない。
その彼氏と別れた時に慰め役として近づこう、なんて性根の悪い考え方までしてしまう。
なんで好きかって言われると、正直、具体的にはわからない。 多分、今までもこれからも、なんでその人のことを好きになったか聞かれても、気付いたら好きになってたとしか言えないだろう。
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