2013-06-06

とあるから見た青年向け恋愛漫画の怪作

BOYS BE…、SALAD DAYS涼風etc

少年向の男の気持ちを描いた恋愛漫画というと思い浮かぶ。

が、久々にとある漫画を読み返したら、そんなもんふっとばす位丁寧に男が女落ちる描写がされた漫画があった。

忘れ去られた感もあるし、別段当時は傑作とも思わなかったわけだが。

まず大抵の青少年漫画において男の惚れるきっかけ描写は"優しくされて好きになった!"とか"一目ぼれ!"と簡潔過ぎて

所謂少女漫画において女が男に段々心惹かれてく過程」に該当する描写が圧倒的に足りない。

だがこの漫画は、その点において圧倒的にすら感じた。

ミスチルの「LOVE」の歌詞にあるような、好きじゃないけどなんか気になるという変化から(8巻)

ふとした瞬間にこいつに嫌われるのはなぁと思う自分に気がついて(12巻)

何オレそんなことを気にしてるんだ?それってこいつに惹かれてるってわけ?と自問自答し(12・15巻)

そうやってかなり相手を異性として意識しつつ

相手の行動原理に「こいつ、オレのことが・・・」があるんじゃないかと思ってみちゃったり(15・16巻)

でもやっぱり「好き」まで振り切ってしまうのは怖くて自分感情に気付かない振りをする―

そんな男の女々しさすら感じる恥ずかしい葛藤感情を惜しげもなく開けかし、

更には「意識する」→キス→「好きと自覚し」「女に落ちる瞬間(所謂恋愛スイッチ入った瞬間)」を2冊掛けて描写するという丁寧さは

今思うに最早少女漫画でやれというレベル。(褒めてます

酷いことに、恋愛スイッチが入ったが故に男のキャラクターが変化していく描写も

元の男のキャラクターからすれば妙にありそうなパターンで展開していくものから侮れない。

勿論ヒロインもとい主人公の女も男と関わって行くことでどんどん変化していくが、違和感なく徐々に恋する女へ移行していくもんだから

クライマックスでようやくお互いの双方への気持ちが同じ強さになった時はシュタゲオカリン見てるような「やったね!」感すらあった。

もっと語る。

  1. 思春期からエロい夢を見る。最初ヒロインとちょめちょめするようなエロい夢ばかり。だが途中から見る夢が変わっていく。ヒロインに呆れられて泣く夢、ヒロイン結婚する夢、ヒロインキスする夢。内容がエロから恋愛へ。夢は無意識の願望、つまり夢の内容で男がヒロインに対して気持ちが傾いていってるなと読み取れる。
  2. 男がヒロイン喫煙に対して説教するシーンが初期から続くが、話が進む毎に度が過ぎていく。それだけヒロインを暗に真剣に思ってきているからこその「行き過ぎ」が現れている。
  3. 元々男が二枚目である事は3巻の時点で第三者が口にしているが、どうみても絵的にはそう見えない。が、ヒロインキスをして恋愛スイチッチON以降どんどん絵的にもイケメンチェンジしていく。恋して変わるというのが絵の上達具合?と絶妙にかみ合ってる。
  4. 生真面目で融通が利かない男だったがヒロイン両思いとなるや否やいちゃいちゃしたい願望・嫉妬と束縛の感情に振り回されるあるある。ヒロインの気持ちが分からネガティブにとことん情けなくなる心理あるある。だがここまで言い訳がましさ一切なく女々しさ垂れ流されると母性本能を刺激されるレベル。現にヒロイン・・・
  5. 青年漫画から当たり前ではあるが、男だからエロいものには咄嗟に目が行くし、別段好きでなくても自分を好いてくれる女が泣いて抱きついてきたら可愛いと思っちゃう辺りもちゃんと描かれている。が、上記の通りヒロインへの感情変化が丁寧故にメリハリが利き、男の一途さが引き立っている。
  6. 青年誌掲載なのに番外編がもろBL。更には融通が利かない生真面目系が恋して一波乱乗り越え精神的に落ち着いたと思ったら、寝取られ疑惑ヤンデレの片鱗を見せるシーンが今見たらちょっとホラー。当時はヤンデレ概念もなく、それだけスキナンダナーで終わっていたシーンだった。


ヒロイン描写に関しても語りたいがあえて略。

この漫画なんなのさ?の答えだが、たぶんおおよその漫画好きなら名前を聞けば「あーあったけど、そんなに持ち上げる程か?」で終わる漫画

パンチラおっぱいモザイクち○こ満載なコギャル達のお色気バトル物語としてなら普通の話だが

巨チン男の恋愛漫画として読むと個人的には一行目の漫画よりよっぽど男版"少女漫画"している怪作だといいたい。

一途キャラ、同居物、忌み嫌われる男要素「他の女に目移り・・・」はなく

寧ろ相手から自分自分から相手への気持ちの重さの差異ですれ違う切なさが詰め込まれて最後ハッピーエンドとか・・・

あえて言おう、少女漫画ですよ『天然少女萬』は!実写の方ではありませんってば!

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