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はてなキーワード: 消極的平和とは

2022-11-02

anond:20221102220209

貧困飢餓、抑圧、教育機会の喪失などは社会制度や国際システムの所産だと考え、人間本来持っているはずの寿命可能性、活動領域などが、社会構造南北格差の中で損なわれ制限されている状態を「構造暴力をふるう」と比喩的にとらえた概念。J.ガルトゥング(1930〜)は、暴力とは「人間潜在的に持つ可能性の実現の障害であり、取り除きうるにもかかわらず存続しているもの」と、概念拡張を試みた。彼は通常の暴力を直接的暴力(direct violence)と呼び、それのない状態消極的平和規定した。これに対し、例えば工業国で牛肉の消費が増え、途上国から大量の飼料を輸入するようになり、そのため途上国の作付けが自国民の消費用穀物から輸出用飼料に切り替えられ、子供たちの食糧が失われて飢餓に苦しむという場合には、結果は直接的暴力と同じだが、因果関係は複雑で暴力行使主体特定できず、しか他者から食物を奪ったはずの人々はその自覚を持たない。このように、社会関係の非対称性を介して間接的に生命人間可能性を奪い去るような行為ガルトゥングは構造暴力と呼び、制度構造に内在した暴力の解消を積極的平和定義して広範な論議を呼んだ。◇Johan Galtung(1930〜)オスロまれ平和研究創始者の1人。59年オスロ国際平和研究所創立。著書『構造暴力平和』(1991年中央大学出版部)など。

 
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