2024-04-19

チー牛女、垢抜けを決意する 1日目

転職してからもう何年も使ってる最寄駅の壁は前からこんなに煤けた色だっただろうか。

初めてこの通路を通った時は、最寄りがこんなにきれいなだってことに密かにモチベーションを上げて面接に挑んだような気がする。

から目を離して看板を見上げる。エスカレーターを登って、ホームに着いて、先頭車両へまっすぐ向かう足に淀みはない。

一連の動作身体は覚えてるのに慣れない景色を見ている。毎日いか歩きスマホをしていたかが浮き彫りになって少し怖くなった。

昨日充電せず寝落ちしてしていなかったら、ずっと気がつくことはなかったんだろうな。

辺りを見渡すと、1人の人はほとんどが俯いてスマホを眺めている。私もいつもはこの風景の一部なんだと思うと、1人だけ夢から覚めてしまったような変な感覚に囚われて、帰宅するまではそれを楽しむことにした。

 

こうして見ると、世の女はみんな可愛い

SNS見て病んでる人は外に出ろ 美女なんかいいから」という言葉勝手に安堵してた自分が恥ずかしい。外に出て勇気をもらえる人は私とは次元の違う容姿で、芋ブスが共感するのなんか身分違いにも程があったことに気がついてしまった。

みんな髪の毛は綺麗にセットされていて、ほんのりシャンプーのいい香りがして、化粧も姿勢も崩れてないし、平均体重を下回ってるはずの私よりもずっと細い人がそこらじゅうにいて、なんか上品な服を着てる。

私はこのホームの中で、最も階級が低いダサくて清潔感のないおばさんなんだ。三食チーズ牛丼なんだ。

洗濯物の山から拾い出したしまむらのシャツと、GUセールになってたやたら厚手のパンツが急に気になり始める。前髪を整えてみるけど、半年以上美容室に行ってない、セットもしてないような髪はすぐに元の寝癖に戻った。

 

可愛くなれるとは思わない。ただ、このまま生きてたら私は化け物になる。なんとかしないと、取り返しがつかなくなる。

やらなきゃいけないことは山ほどある。やめるべきこともたくさんある。

 まずは帰って、風呂に入って、髪をちゃんと乾かしてから寝るところからだ。

 

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