薬局で処方箋を出して10〜15分くらい待ち、ようやく名前を呼ばれて窓口に向かった。
薬剤師さんから「前回、薬の用量が変わりましたが体調にお変わりなどはありませんでしたか?」といった一般的なことを聞かれたあと、いつものように袋から薬を出してお互いに錠数チェック。
「7日分なので7錠ですね」
「………??」
「7日分ですか? 2週間分のはずなんですけど」
と言いながら、処方薬の解説シートを目で追うと全ての薬が7日分で出ている。数年ぶりの処方日数ミスだ。
今日、ものすごく患者数が多くて忙しそうだったもんな。そういうときはこういうミスしがちだよね。うん、しゃーない。
処方箋が間違っている以上は薬剤師さんが主治医に電話をして疑義照会をしなければならない。
薬剤師さんはカゴを抱えて電話のある2階へと駆け上がっていった。
本来は医師を全面的に信頼せず、診察室を出たあとすぐに処方内容にミスがないか自分で確認するべきなのかもしれないが、土砂降りの中を長時間歩いてきた今日はそんな余裕が自分になかった。
たぶん先生はようやく怒濤の外来が終わってお昼ごはんを食べてるタイミングじゃないかなぁ……申し訳ないなぁ……。
私がミスしたわけではないのに罪悪感と妙な居心地の悪さに襲われる。
疑義照会を終えた薬剤師さんが階段から降りてきて、心底申し訳なさそうな顔で「お待たせしました……!」と言われる。こちらこそお手数おかけしました……。
私が行っている薬局だけかもしれないが、疑義照会を行うと、処方箋に医師(主治医)に確認した内容が赤い文字で書き込まれる。
何気なく処方箋に目をやると、細かい文字でびっしり5行くらいに渡って書き込まれていた。
(えっ、処方日数の変更をするだけなのにそんな書くことある?)
と内心ビビリ散らかしたが、表情には出さないようにした。薬剤師さんからも特に変わったことは言われなかった。
ねえ、赤い文字でビッシリ細かく何書いてたの?
めちゃくちゃ気になるじゃん。
疑義照会って基本的に医師のミスのはずなのに、私はどういうわけか毎回自分のほうが居心地悪く申し訳ない気持ちになる。
診察時間外に医師の時間の邪魔をなるべくしたくないし手間を取らせたくない。薬剤師さんにも手間と時間をかけさせたくない。申し訳ない。なにより自分も面倒くさい。