2023-07-21

どう生き、作家論じゃない批評だれかかけよ

今まで、いろんな批評を十数個読んでみたが、どれもこれも、やれハヤオがどうだとか、やれ鳥は鈴木Pだとか。もちろん観点としてはありだけど、そればっかりだと飽き飽きするし、映像ストーリーの力がそれほどにもない映画なのかと思ってしまう。

先ず塊から始めよということで、拙い感想を書く。文章の組み立て方とかわかんないから箇条書きだけど。

・夏子、女すぎる。まず馬車から降りるときにいい匂いした。夏子の腹を触らされた時の眞人の「ざわっ」って感じ、嫌悪感忌避感がリアルだった。

・異界で夏子のことを「好きなの?」と聞かれ、眞人が「父の好きな人だ」って答えるの、「眞人が夏子のこと好きだからだろ」みたいな意見も見たが、違うだろう。

夏子はまだ「異性」だったのだ。母ではなく、女だった。好きとかではなく、母性よりも女性性が強く感じられていたからこそ、そういう受け答えになったのだと思う。

・だからこそ、産屋での「母さん!」という一種べたな呼びかけが、効いてくる。最初は「え、こんな“家族”の象徴としての母親呼びなんてベタ陳腐じゃね?」と思ったが、眞人が夏子の、異性性よりも母性を受け入れることにした、という意思表示なのだから、言う必要があった。「どこでそんな絆深まったん?」と思ったが、「これから家族としての絆を深める意志がある」という宣言だったのだ。

・眞人の悪意、すご!! 同級生からいじめられ、石で自分の頭から半端ねえ血を流すんだけど、あれ自分でやった傷なのに血出すぎでしょ。あそこで「うえ~ん、同級生にこんなことされたよお」っていうんじゃなくて「転んだ」というところ、テクニカルすぎる。

そういわれたら、同級生の罪が重くなるだけでなく、父親の激高もより深くなるし、夏子も「信用されていない。だから本当のことを言ってくれない」という無力感を強くするだろう。

眞人の悪意、すご!!! どろっどろの悪意だ。そりゃ夏子も「あなたなんか嫌い!」っていうよ。

・だから自分の傷は悪意で汚れている」と眞人がいったとき、「こいつ、言いおった!!!」と思った。個人的にはこの「告解」が映画ハイライトだった。眞人がこの告白をできたこと、それがこの旅の意味だった。

・焼死した人間が火の使い手になるの、普通にえぐくない?ラストで「火は怖くないわ!」とかいって、「自分死ぬが、それでもあなたを生むことを選ぶ」という強烈な「子の」生の肯定グロくない? 「まあ最後は焼死してもそこそこいい人生だったもんな」って自分人生肯定してヒミが現世に戻るならいいんだけど、「あなたを生むんだもの」って。生むことがヒミの人生第一かい!ってなる

・まとめると、眞人の悪意と告解が一番シビれたし、でもヒミの描き方には疑問があった。総体的には楽しめた。

  • 内容的にはファンタジーなの?

  • ヒミが未来の焼死を受け入れるのは、「日本の敗戦を受け入れる」という暗示だと思った。 過去に戻って未来を変えることはできない。焼け野原の向こうに新しい世界を構築しよう、と...

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