ラノベやアニメ界隈では、もはや王道モノのジャンルである「異世界転生」モノ。
現世で冴えない容姿や才能であるゆえに冷遇を受けていた者が突然死んで、顔良し頭良し能力良しな状態で違う世界でド級なリア充生活を満喫するアレ。
有能で美麗な仲間だけに囲まれて、お互いを尊重しあって、高めあって、毎日が宝物な、そんな世界。きっとどこかにあるんだろうと夢見させてくれる。
これは言うまでもなく、実際に日々冷遇されている者の「本来なりなかった姿」である妄想を具現化してくれるアイテムである。
リアルには異世界転生なんてできない、でも現実ではしょっぱい目に遭ってる。マッチ売りの少女の、マッチのようなアイテム。それが「異世界転生」モノ。
しかし現実には、顔良し頭良し能力良しな状態で現世を生きている者がいる。
きっとさぞかし良い毎日を送れているに違いない。
そう思う。
だけど実はそうでもなさそう。
たしかにモテてる。黙ってても可愛い系若手女子から話しかけられまくり。
だがしかし話しかけてくるのは有象無象。可愛い女の子ちゃんだけじゃない。
相手が面倒くさそうなおっさん、他者依存してばかりの小僧、そしてなにより最も鬱陶しそうなのが、独身をこじらせたおばさん。
更年期大爆発の異常なテンションで、ねっとりしっかり毎日長時間絡みついている。
だけどそれなのに呼んでねぇやつらが次から次に訪ねてくる。
特段やっかいそうなのが、冷え切った家庭を抱えたしょぼいおじさん。
ワンチャンスあるかも?!とギトギト油の顔をニヤニヤさせて来る日も来る日もどうでもいい用件で話かけてきてる。