替え歌の評価ポイントは「語呂」と「意味」の2点に大別され、「語呂」はさらに「文字の一致度」「母音の一致度」「音階の一致度」で分析することができる。
この最後の「音階」についてはほとんど意識してる人がいないけど結構大事だよねという話。
たとえばJUDY AND MARYのくじら12号には次のような歌詞がある。
太陽が目覚めたらあの船で行こう
普通に日本語として朗読した時の音程の上下と、曲としてのメロディがほぼ一致している。傑作だ。
体毛が芽生えたら剃刀で剃ろう
替え歌としての完成度は非常に高く、ほとんどの文字が一致しており、「たいよう」と「たいもう」のように変えた部分の母音も努めて一致させ、なおかつ意味も通して笑いどころを作っている。
しかしそれでもこの替え歌が原曲と比べるとどこか素人っぽく聞こえるとすれば、それこそが音階の不一致によるものだろう。
「たいよう↓」とは言うが「たいもう↓」とは自然な日本語では言わないのだ。
このように元々の日本語の音程感は歌詞の聴きざわりに思いのほか影響する。
「君の夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ」(the pillows - funny bunny)
「うっせぇうっせぇうっせぇわ」(Ado - うっせぇわ)
驚くほど簡単に耳に棲みついてくる曲というのは大概それだ。歌詞と音階とのギャップが限りなく取り除かれている。
以前にニコニコ動画で流行した「野球選手の名前で歌ってみた」シリーズも、この日本語の音階感覚がずば抜けていた。
「野田」から「足立」までの音階が日本語の自然な発音そのまま!
母音を几帳面に合わせているのも勿論大きいが、音階面での努力こそが、このめちゃくちゃな替え歌をこれほど自然に聞かせてしまう要因でもある。
ところでこの増田のタイトルの一節は、母音も子音も一切合わせることを考えず、日本語の自然な音階に合わせることのみに全力を投下した替え歌である。
おそらく居酒屋へ行ってこれと全く同じ文言で、店員に言い聞かせるように注文をしたら、ちょうどそのメロディになるだろう。
はてなー諸氏は何の曲かわかってくれただろうか?